第1回定例会 予算特別委員会 補充質疑 2019.3.22 田中みち子

第1回定例会 予算特別委員会 補充質疑 2019.3.22 田中みち子

 

それでは、生活者ネットワークの補充質疑を始めます。

 

まず、予期せぬ妊娠、出産から母子の命を守る取り組みについて質問します。

 

都市整備の所管では、母子の命を守る取り組みとして、放置自転車を再整備し、アフリカなどの発展途上国へ無償譲与する事業、ムコーバについて取り上げました。世界では、一日に約八百人の女性が妊娠と出産で命を落としており、その原因の一つとして緊急医療のおくれがあります。こうしたときに、再生した放置自転車が救急車として患者を運んだり、看護師や助産師が交通手段として利用することで、母子の命を守ることができるこのムコーバの事業は、途上国にとって必要不可欠なものです。平成元年に始まり、平成の終わりとともに終了する悲しい事業になってしまうことがないよう、きょうは区長もいらっしゃっていますので、新元号とともに再生できますよう、しっかり取り組んでいただきたいと要望いたします。

 

日本は、途上国でもなく、緊急医療が進んでいるにもかかわらず、出産時に亡くなる事例もあります。母と生まれる子どもの命がかかっているからこそ、医療機関とつながり、安心して万全な体制でお産に臨むことが重要です。しかし、何らかの事情により、出産のその日まで医療機関につながらず、誰にも相談できず、トイレやお風呂場などで出産する女性が一定数いるという解決すべき現状があります。

 

未受診妊婦へのアプローチについては、これまでも質問に取り上げており、医療機関や民間企業と連携して対策を行うことを求めていますが、その後、どのように対策が進んでいるのか、見解を伺います。

 

 

世田谷保健所長

医療機関の妊婦健診等で把握されたリスクの高い妊婦等を区でも把握するためには、医療機関との連携が不可欠と考え、平成二十九年度には、区内外の十六カ所の産科を支所のネウボラチームが訪問いたしました。今年度も引き続き、二十五カ所の妊婦健診を受託する医療機関を訪問するなど、顔の見える関係づくりに努めてまいります。

 

一方、医療機関の妊婦健診未受診の妊婦の方々を把握するのは難しい面があるため、今年度は、より多くの妊婦の方に手にとっていただけるよう、デザイン等を工夫した世田谷版ネウボラの区民周知用リーフレットを作成いたしました。昨年の十一月以降、庁内関係各課、区内幼稚園や保育園を初め、ひろば、区内医療機関などにも協力を求め、区内の広範囲の窓口等で配付をしています。また、昨年度は、官民連携の取り組みとして、世田谷版ネウボラをPRするため、ユニクロ世田谷千歳台店にユニクロと区政情報のタイアップパネルを掲載いたしました。

今後も、医療機関との連携に加え、民間施設等における効果的な周知方法など、妊婦自身へのアプローチについても工夫し、未受診妊婦の把握に努めてまいります。

 

田中みち子 委員

対策が進んでいるとも思います。しかしながら、調べてみますと、世田谷区内でも、自宅トイレやお風呂場、出産当日まで医療機関につながっていないなど、危険を伴う出産事例がありました。現場の受けとめと対応状況を伺います。

 

砧総合支所保健福祉センター所長

いわゆる特定妊婦と言われる、出産後の子の養育について出産前に支援を行うことが特に必要な妊婦の方については、保健師のフォローにより、妊娠から出産、養育の過程を関係機関とも連携しつつ支援しているところでございます。しかしながら、妊娠の自覚のない方や、妊婦健診に対する意識の希薄な方もおり、出産間近まで未受診でいる等により、区内でも、委員の言われるような事例のあることは重く受けとめております。

 

健康づくり課では、子ども家庭支援センターと連携し、支援の必要な家庭の養育の意思や能力を見きわめてまいりますが、予期せぬ妊娠等により養育の意思のない場合や、著しく養育能力の欠如している場合等により、親のもとで養育できないことがございます。そうした場合には、子ども家庭支援センターから児童相談所に引き継ぎ、一旦乳児院に措置した上で、特別養子縁組の手続に至る場合もございます。

 

今後とも、妊娠期面接や母子保健事業を通じ、望まない妊娠や出産等を把握するよう努め、妊婦や子育て家庭に必要なサービスにつなげ、関係機関としっかり連携し、地域で支援してまいります。

 

田中みち子 委員

今、答弁でもありました一旦乳児院へ措置ということなのですけれども、やはりこの一旦というのは、果たしてどれぐらいの期間なのかということ、やはりこれが問題なのだと思います。一日二日ならまだしも、やはり障害の有無を確かめるために、三カ月から四カ月、あるいは子どもによっては一年半とか、かなり長い期間、施設、乳児院に措置されてしまっています。これが子どもにとって最善の選択と言えないと私は考えています。生まれた直後から愛着形成の重要な時期が続きます。泣いたらすぐ同じ声で、同じにおいの人が、一対一で見詰め合って育てる環境こそ必要です。

 

予期せぬ妊娠などにより育てる意思がない場合、一旦乳児院とならず、早期に特別養子縁組につなげるべきと考えます。児童相談所移管を見据えた区の見解を伺います。

 

子ども・若者部長

区は、全ての子どもに永続的な人間関係や生活の場が保障されるべきであり、特に愛着関係の基礎をつくる乳幼児期は、子どもが安心できる、温かく安定した家庭で養育されることが重要であると考えております。民間の養子縁組のあっせん機関等が扱うケースとは異なり、区や児童相談所がかかわるケースにつきましては、誰にも相談できないまま受診せず出産に至るなど、相談、援助に十分な時間がとれない困難なケースがほとんどとなっております。

 

しかし、その一方では、区の母子保健と児童相談所が密接に連携し、女性と子どもにとって最善の選択ができるよう支援できることに、区が児童相談所を設置、運営する意義がございます。未受診の妊婦を早期に発見し、相談につなげることが何よりも重要ではございますが、妊娠中からの特別養子縁組の相談、援助の必要な困難ケースも想定しまして、母子保健と児童相談所の新たな仕組みづくりの検討を進めますとともに、連携協力について改めて両機関で確認を行うなど、万全の体制を整えてまいりたいと考えております。

 

田中みち子 委員

やはりこの未受診妊婦は、さまざまな事情を抱えています。誰にも相談できずに、お腹が大きくなるとともに不安も大きくなり、最悪の場合、乳児殺人や遺棄事件などの当事者となってしまう場合もあります。嬰児遺棄事件の報道のたびに、望まれない命がある現状に胸が痛みます。こういった事件が繰り返されないよう、女性と子どもにとって最善の選択ができるような体制づくりをお願いします。

 

次に、東京二〇二〇大会とごみについての質問です。

 

海の生態系に深刻な影響を及ぼすマイクロプラスチックは、世界的な問題になっています。世界では、レジ袋やストロー発生抑制など、脱プラスチックの動きが急速に進む一方で、日本では、レジ袋の有料化を義務づけるなどのみで、おくれを感じざるを得ません。昨年の一般質問や決算特別委員会でもさまざま質問しましたが、持続可能な大会運営を行う東京二〇二〇大会を前に、区が率先して庁内の会議などにおいてペットボトルの配付をやめることなど、具体的な対策を求めました。その後の進捗状況、また、新たな取り組みがあれば伺います。

 

環境政策部長

プラスチックごみが海に流出してマイクロプラスチックとなり、生態系に悪影響を及ぼすおそれが指摘され、地球規模の脅威となってございます。区は、この問題に対する取り組み策といたしまして、海洋プラスチックごみ問題への当面の取り組み方針を取りまとめたところでございます。方針といたしましては、二月に開催した環境シンポジウムを初めとする、海洋プラスチックごみ問題に関する区民等への普及啓発や、町会・自治会、事業者等との協働によるポイ捨て防止キャンペーン活動等を通じまして、陸地から海へのプラスチックごみの流出抑制を図っていくことを掲げてございます。

 

区の率先行動といたしましては、区主催のイベントや会議で、ペットボトル、ストロー等の使い捨てプラスチック製品や容器包装の使用を可能な限り削減するよう努めることなどに加え、区施設内の食堂や売店においても、できる限り使わないよう要請しているところでございます。また、職員においても、マイバックやマイボトルの使用を推奨するなどの取り組みを推進してまいります。

 

さらに今後は、環境シンポジウムの開催により、学識経験者や区民等と意見交換を行うとともに、環境エネルギー・ラボでは、この問題を取り上げて、子ども向けに発信を行うなど、区民により広く知っていただく機会を設け、取り組みを一層推進してまいります。

 

田中みち子 委員

環境エネルギー・ラボなどでも啓発していくということで、以前、質問で、使う責任とつくる責任みたいなところで、エシカル消費についても消費生活課のほうに質問を投げかけています。ぜひこういったところも連携して、一緒に取り組みを進めていただきたいと思います。

 

東京二〇二〇大会の馬術競技が開催される馬事公苑では、五つのルートを使い多くの来訪者が見込まれるため、たばこやごみなどのポイ捨てが気になります。大会開催に合わせ、美化指導員の体制強化や、電柱にポイ捨て禁止に関する看板の設置を検討することなど、啓発指導は進むようですが、ごみを道路に日常的に捨てる文化圏の来訪者も予想され、ごみの収集については不安が残ります。都市整備所管では、「馬事公苑界わい」まちの魅力向上構想の資料の中の三十九の取り組みについて、ユニバーサルデザインの観点で質問しましたけれども、この中に、ごみ収集の工夫というところがございました。これはどのようなものになるのか教えてください。

 

都市整備政策部長

委員お話しのごみ収集の工夫につきましては、大会期間中であっても家庭ごみの排出はとめられないことから、ごみ集積所の風景を少しでもよくするために、デザインしたごみ袋を配付しようという発想で取り組んでございます。デザインの検討では、子ども・若者部が実施しております「情熱せたがや、始めました。」、通称「ねつせた!」に参加している若者たちと協働いたしまして、馬事公苑や馬術をイメージさせるイラストを盛り込むなどして進めております。

 

今後の取り組みにつきましては、機運醸成と町の美化を狙いといたしまして、馬事公苑かいわいの町会・自治会が開催する町の美化活動での使用を考えております。その際は「ねつせた!」、若者との連携を深め、SNSを通じ情報発信してもらうことも検討してございます。

 

また、馬事公苑かいわいのまちづくりセンターが毎年実施しております古着などの回収事業への協力者に対して、このごみ袋を配付することも考えております。こうした取り組みの際は、ごみ出しのマナー向上に関するメッセージを添えるなど、住んでいる人も、訪れる人も、ともに心地よく過ごせる町の環境をつくり出し、馬事公苑かいわいのさらなる魅力向上につなげてまいります。

 

田中みち子 委員

今、ごみ出しマナー向上にメッセージを添えるということで、ぜひしっかり進めていただきたいと思います。

 

具体に、このごみの集積所に不法投棄のごみ袋がたまってしまって困っていますという、これは馬事公苑周辺ではない地域なのですけれども、そういうお声があって、分別されていません、収集できません、粗大ごみですというシールが張られたものがずっと放置されていると。早速担当のところに申し上げて、きょう、その対策が進むような形で取り組みいただいているので、ありがとうございました。ぜひこういったところもマナー向上をさらに徹底していただきたいと要望します。

 

そして、家庭のごみについて対策が進むということですが、来訪者に向けた対策については見えてきません。ポイ捨てされるごみについてはどう対応するのか、答弁を求めます。

 

スポーツ推進部長

東京二〇二〇大会時の最寄り駅から大会会場、馬事公苑までのルート、いわゆるラストマイル上での観客によるごみのポイ捨てにつきましては、まず、そういったことがされないように周知啓発をしていく、これが重要であります。ポイ捨てがあった場合につきましては、大会の主催である東京都及び組織委員会における対応が基本であると認識をしております。

 

平成三十年に東京都が策定いたしました東京二〇二〇大会における都市運営に係る基本方針の中で、ラストマイル上の取り組み事例として、ごみへの対応等の路上美化の取り組みは、東京都と組織委員会が会場周辺の自治体等と連携しながら検討を進め準備するとしております。現時点におきまして、東京都から具体的な対応策は提示されておりませんが、今後、提示された段階で、しっかりと東京都と意見交換を行い、都と区の役割分担を明確にした上で、関係所管部とともに、地元自治体としての役割を担ってまいります。

 

田中みち子 委員

今回の質問をするに当たって、この関係所管ということでヒアリングをかけたところ、七、八人の所管の方が集まられて、こんなに関係しているんだと思って、改めてびっくりしたんですけれども、やっぱり縦割りということを越えて、ぜひきれいな状態で維持していただきたいと思っています。

 

最後に、東日本大震災の被災者への支援についての質問です。

 

東日本大震災から八年がたちました。福島では、原発事故の影響で、いまだ約三万二千人の方が故郷に戻れず、避難生活を送っています。二十八年の決算特別委員会、二十九年の予算特別委員会でも、自主避難者への住宅支援打ち切りへの対応について質問しましたけれども、その後、避難指示が出ていた地域の避難者への拡大というものを言われている中で、現況の対応、そして今後の対応というのを聞かせてください。

 

都市整備政策部長

東日本大震災等における避難者に対する応急仮設の対応といたしましては、現在、十二世帯の方がおりますけれども、その世帯の方々につきましては、二〇二〇年三月末までの供用期間の延長というふうになっております。区につきましては、十二世帯の方々の避難指示が解除され、応急仮設住宅の供用期間の延長が終了となる場合においても、福島県や東京都などと連携しながら、避難者の方々に寄り添った支援に努めてまいります。

 

田中みち子 委員

今後、心のケアというのも必要だと思います。しっかりと支援いただきたく要望して、質問を終わります。