第1回定例会 意見 2019.3.27 田中みち子
生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、平成三十一年度世田谷区一般会計予算、ほか四件全てに賛成する立場から意見を申し上げます。
今回の予算規模は前年度比で約六%増加し、三千百九十三億円と、世田谷区政史上最大のものとなりました。区債の発行は、区立学校体育館への空調導入や三十二年度着工予定の本庁舎建てかえなど、必要な投資的経費に限り、耐震性はもとより断熱性能を確保した施設の長寿命化を求めます。
また、ふるさと納税における寄附文化の醸成には、グローバルな視点が欠かせません。SDGsの理念が区全体に浸透するようなクラウドファンディングの創設など、さまざまな手法で財政の健全性を担保するとともに、来年度から始まる新公会計制度も活用した区財政の一層の透明化を図り、誰一人取り残されない持続可能な区政運営を要望します。
女性の仕事と子育てや介護の両立に向け、男は仕事、女は家庭という固定的性別役割分担意識の解消を進め、仕事の切り出しや男性の育児休暇取得制度の取得率向上に目標値を持って取り組むことなど、多様な働き方が可能となる環境を整備することを求めます。また、DV被害者支援と児童虐待防止に向けた連携の強化やジェンダー主流化と女性のエンパワーメントをあらゆる分野で進めてください。
子どもの権利条約批准の節目に、子どもの生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利を保障する子どもの権利条約の周知と、その理念を掲げた子ども条例の実効性のある取り組みを求めます。児童相談所設置に向けては、福祉や教育所管、地域が連携し、子どもの最善の利益が保障され、虐待の連鎖を断つ支援を確実に進めることを求めます。また、里親や養子縁組の推進に向けた相談支援体制の整備に当たっては、特に予期せぬ妊娠などにより、実の親が育てる意思がない場合については、現在行われている一旦乳児院へ送る措置とせず、特別養子縁組を行う体制を構築することは、愛着障害やパーマネンシー保障の観点からも重要です。
重度障害や医療的ケアの必要な子どもの受け入れ施設不足は大変大きな課題です。この状況下で医療的ケア児を受け入れる放課後デイサービスなどに対して、区独自の補助を新設したことを評価します。また、高齢者、障害者福祉に関しては、担い手不足が解消せず、特に外出支援サービス不足は大きな問題です。買い物難民や交通不便地域解消のため、新たな視点を加え官民連携で取り組みを求めます。
東京二〇二〇大会を契機にユニバーサルデザインを進めると同時に、整備した後の障害当事者との検証に加え、心のバリアフリーを進めることが重要です。また、世界規模で問題となっているプラスチックごみの発生抑制に向けた実効性のある取り組みを進め、持続可能な地球環境を目指すことを要望します。
保育待機児の解消に向けては、保育の質を維持向上させつつ定員拡大を図ること、教員の多忙化解消に向けては、教育支援チームなど教育委員会のバックアップ体制の強化を求めます。
最後に、東日本大震災から八年がたちました。原発事故、子ども・被災者支援法は、国が住宅確保などの施策を講じると定めているにもかかわらず、具体化されていません。避難先での生活になじむのは容易ではなく、避難生活の質の向上が災害復興の課題ともされている一方で、被災者への住宅提供打ち切りは、避難指示が出ていた地域の避難者へも拡大されています。被曝から身を守るため避難する方々が、行き場、夢、希望、そして生きがいまでも失って、自死を考えるまでに追い詰められることがないよう、一人一人と実際に対面し課題を聞き取り、心のケアを含めた生活再建へ向けた支援を行うことを求め、生活者ネットワークの賛成意見といたします。(拍手)