第1回定例会 予算特別委員会 都市整備委員会所管質疑 2019.3.14 田中みち子

第1回定例会 予算特別委員会 都市整備委員会所管質疑 2019.3.14 田中みち子

 

まず初めに、ユニバーサルデザインの推進について質問をします。

 

東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会まであと一年四カ月となりました。世田谷区では、大蔵運動場と大蔵第二運動場がアメリカ選手団のキャンプ地として、また馬事公苑は馬術競技の開催地として準備が進んでいます。ソフト面での取り組みとしては、オリパラ選手と子どもたちとの交流事業やロゴマークのPR、今皆さん首から下げていらっしゃる携帯のストラップにもホストタウンのマークがついていらっしゃると思うんですが、目に見える形で進んでいると思っていますが、ハード面での取り組みはなかなか見えてきません。特に、馬術競技場となる馬事公苑の周辺については、平成二十九年三月に「馬事公苑界わい」まちの魅力向上構想ということで、こういう冊子ですね。こんなものをつくって、三十九の取り組みを掲げています。そして、外国語講座の開催だとか、学校に通う学生を対象としてボランティアの企画実施とか、ホスピタリティーの充実など三十九掲げていますが、私のほうでは、このユニバーサルデザインにかかわる取り組みについて注目をしています。

 

そこで、現在の進捗状況を伺います。

 

都市デザイン課長

区では、平成二十九年三月に策定した「馬事公苑界わい」まちの魅力向上構想に基づき、ユニバーサルデザインを基本としたさまざまな取り組みを関係各課、連携、協力しながら進めております。取り組みを御紹介しますと、馬事公苑外周の用賀中町通り及び馬事公苑通りの一部区間においては、安全な歩行者空間の確保を目的に、平成二十九年度より電線類地中化工事に着手しており、平成三十一年度に完了する予定です。また、道路標識の英語併記化や道路通称名標識の設置についても、平成三十一年度に完了する予定です。

 

なお、公共トイレの便器の洋式化については区内全域で取り組んでいますが、東京二〇二〇大会の開催を踏まえ、馬事公苑かいわいで優先的に進めており、こちらは平成三十年度に完了する予定です。

 

田中みち子 委員

今、公共トイレの洋式化については区内全域で取り組むということですけれども、ぜひここでこのユニバーサルデザインの観点で進めてほしいと考えています。

 

やっぱりこの呼び出しボタンはもとより、便器の洗浄のボタンというのが見つけにくいと思います。レバータイプのものとか、センサーのものとか、最近ではセンサーに察知することを前提として足の踏み込み式でペダル式になっていて、そもそも地上と同じような高さになっているなど、本当に規格や設置場所がばらばらです。それで、このトイレの洋式化と同時に、トイレのボタンの配置を統一させることはできないでしょうか、見解を伺います。

 

都市デザイン課長

委員の御指摘のトイレブース内のボタンの位置ですが、本年度開催した本庁舎等のユニバーサルデザインワークショップや、ユニバーサルデザイン検討会においても、当事者の方々からボタンに関する意見が出ており、区としてもわかりやすいボタンの配置は課題と認識しております。便器の洗浄ボタン、呼び出しボタン、紙巻き器の配置については、ユニバーサルデザイン推進条例の建築物の便所の整備基準の解説において整備の考え方を示し、日本工業規格、いわゆるJIS規格を準用することとしています。JIS規格では、洗浄ボタンは紙巻き器の上部に配置することとされています。

 

今後、区の施設では、視覚障害の方や高齢者を初め、誰もが安心してトイレを利用できるように、JIS規格にのっとってボタンを配置してまいります。また、民間施設につきましては、ユニバーサルデザイン推進条例の届け出の事前相談の際に、事業者及び設計者へ指導してまいります。

 

田中みち子 委員

今後、そうすると民間施設ではユニバーサルデザイン推進条例、この届け出の際にトイレボタンの設置指導を徹底していくということで、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 

次に、二〇二〇大会では世界中から多くの来訪者が見込まれており、誰もがわかりやすいサインを整備することも必要です。二十九年度はうままち歩きやうままちワークショップなどを実施し、地元の方、障害当事者など多くの意見を生かした計画を策定したと聞いています。ユニバーサルデザインの視点でどのような配慮を行うのか、具体的にお聞かせください。

 

都市デザイン課長

区では、区民や来訪者へ向けてわかりやすい情報を提供できるよう、平成二十八年四月に情報のユニバーサルデザインガイドラインを策定し、その中で、印刷物やホームページの作成とあわせて、サインを作成する際の基本的な考え方を示しております。本ガイドラインの基本的な考え方を踏まえ、馬事公苑かいわいのサインにつきましても、表示内容について検討を進めてきました。具体的には、車椅子使用者や子どもも見やすい表示板面の高さの設定、英語併記と合わせてQRコードによる多言語対応、ピクトグラムの活用、見やすい文字の大きさや書体、色覚障害をお持ちの方に配慮した色使いなどについて検討し設計しております。

 

田中みち子 委員

車椅子の使用者や子ども、そして英語表記などの多言語対応、また色覚障害をお持ちの方に対する色使いなどを検討しているということですけれども、この視覚障害の方への配慮というのはどのように進むのか教えてください。

 

都市デザイン課長

現在、さまざまなメーカーにより視覚障害者向けあるいは訪日外国人向けにICTを活用した情報伝達システムや音声案内のシステムが開発され、発表されています。今般設置する馬事公苑かいわいのサインでは、音声による案内として、QRコードの設置も含め検討しております。音声案内の導入に当たりましては、東京二〇二〇大会開催期間中の案内だけでなく、その後も長く活用することから、今後、当事者の方とともに実験などを行い、システムの将来性や維持管理なども勘案しながら検討を進めてまいります。

 

田中みち子 委員

当事者の方との実験ということで、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。そして、今後の取り組みとして、千歳船橋や用賀など五つの駅から馬事公苑までのサインを設置し、舗装や視覚障害者誘導用ブロックの補修や改善などを行うとのことで、オリパラを契機にユニバーサルデザインが進むことは評価します。しかし、整備した後の障害当事者との検証を行うことが求められます。

 

先日、視覚に障害のあるお嬢さんの通勤に毎日つき添うお母様から御相談を受け、一緒に歩いてみましたが、誘導ブロックが正しく整備されていない箇所など一緒に歩いてみないとわからない危険な箇所がありました。このところは早速担当の所管が一緒に行ってくださって、一緒に歩いてみますということで早速対応いただきありがとうございました。

 

そして、視覚障害者誘導用ブロックなど整備後の当事者との検証まで行う機会をつくることこそが必要だと改めて認識するに至っています。区の見解をお聞かせください。

 

都市デザイン課長

区では、この三月に策定予定のユニバーサルデザイン推進計画(第二期)後期の施策事業の一つに、ユニバーサルデザインによる区立施設等の整備推進を掲げております。その中で、ユニバーサルデザインの視点からアドバイザー等とともに検討を行った区立施設の開設後に、再度点検評価する取り組みを新たに行うこととしました。施設開設後に再度ユニバーサルデザインの視点で、当事者や施設利用者、施設管理者からの意見聴取を行い、改善策を検討することで、より誰もが利用しやすい施設づくりにつなげていくものです。

 

一方、視覚障害者誘導用ブロックにつきましては、ユニバーサルデザイン推進計画(第二期)後期の施策事業の一つに歩きやすい道路環境の整備を掲げ、適切な維持改善を行うこととしております。「馬事公苑界わい」まちの魅力向上構想の取り組みを初め、改修に当たっては、視覚障害の方などとともに点検、検証する機会を設けていくことで、危険な箇所や視覚障害者誘導用ブロックの敷設方法が適切でない箇所を改善してまいります。

 

 

田中みち子 委員

大会終了後には、区民一人一人にとって暮らしやすい、優しさあふれる町になるには、やっぱり心のバリアフリーも大切だと思いますので、ここも関係所管と一緒になってしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 

次に、放置自転車に対する持続可能な開発目標、SDGsの推進についての質問です。

 

駅前には、視覚障害のある方の誘導用ブロックがありますが、自転車がブロックの上に置き去りにされる箇所があるなど問題を抱えています。世田谷区では、放置禁止区域を指定し、平成二十九年度は二万九千台が撤去され、そのうち引き取りのない自転車は八千七百台ありました。こうした日本で問題となる自転車が海を越えて、途上国の人々にとって必要不可欠なものとして社会貢献していることを御存じでしょうか。

 

貧困や差別に苦しむ途上国、女性の命と健康を守るために活動する国際NGO、JOICFPと十の自治体で結成された再生自転車海外譲与自治体連絡会、略称MCCOBAという活動があります。平成が始まる元年から、引き取り手のない自転車を再整備し、アフリカ、アジアなど途上国へ無償で送り届けています。現地では、保健師や助産師の交通手段として、何十キロも離れた診療所への移動手段や救急車として使われており、命を救う足として大変喜ばれ、母子保健活動を支えています。

 

区では、平成元年の発足当時から参加し、平成三十年までに九千台を送り、平成二十八年七月には、無償譲与先のザンビア共和国の表敬訪問を受けています。ぜひそのときの様子をお聞かせください。

 

交通安全自転車課長

平成二十八年七月、アフリカのザンビア共和国コッパーベルト州保健局長ほか一名の方が世田谷区役所を訪れ、区長が直接応対をいたしました。先方からは、日本から送られてくる再生自転車がザンビアの母子保健事業に不可欠なものであり、多くの人命を救っているとの感謝の言葉をいただきました。区長からは、ザンビアの母子保健事業や自転車の活用方法などについて尋ねられ、予定した時間を大幅に超える面会となりました。

 

最後に、区長から再生自転車の譲与を通じて今後もザンビアの方々の力となり、できる限りの援助を行っていきたいとお伝えし、会は終了いたしました。

 

田中みち子 委員

大変とうとい活動で応援していますのに、この平成の終わりと同じくして解散すると聞きました。これは本当でしょうか、その理由をお知らせください。

 

交通安全自転車課長

放置自転車対策の進展によりまして、撤去する自転車が減少し、譲与する良質な自転車が確保できなくなったことや、大手民間企業からの助成金が平成三十一年度より途絶えることになり、加盟自治体の負担が大きくなることから、本年六月をもって、非常に残念な結果ですが、解散することになりました。しかしながら、区といたしましては、たとえ規模が縮小しても引き続き同事業を継続していきたいと考えておりまして、現在は同じ意向を持っております三つの自治体、世田谷区、大田区、さいたま市でございますが、新組織の発足に向けて協議を進めているところでございます。

 

田中みち子 委員

ぜひしっかりお願いしたいと思うんですが、この二〇一五年の国連などの発表によれば、一日八百三十人の妊婦が世界で死亡し、その九九%が途上国で起きています。特に、この表敬訪問してくださっているこのザンビアなどアフリカでは、全ての母親が安心してお産ができる環境にはありません。SDGsでは、二〇三〇年までに妊産婦死亡率を出生十万人当たり七十人未満に削減するといった目標を掲げており、このMCCOBAの取り組みは、SDGsのゴール達成に向け貢献できる事業です。クラウドファンディング等を活用して広く周知し、多数の方から資金を集めるべきと考えます。見解を伺います。

 

交通安全自転車課長

妊産婦、新生児の命を助ける当事業は、国連サミットで採択されました持続可能な開発目標、SDGsの達成に合致する事業と考えます。現在、本年七月の新組織の立ち上げに向け鋭意努力しているところではございますが、MCCOBA事業が軌道に乗った際には、クラウドファンディングを活用した資金調達についても検討してまいりたいと考えております。

 

田中みち子 委員

ぜひお願いしたいと思います。

 

ちょうどこの質問をするに当たって、この二十五周年記念、MCCOBAのパンフレットを見させていただいたんですけれども、実際の現地の様子が写真におさめられていて、ぜひ見ていただきたいと思うんですけれども、まさにこの自転車を再生したものが、こんな形で救急車として妊婦の足になっているということで、この若い女性が、お腹の大きい女性がいてこの医療を受けている様子です。あるいはまた、この自転車を入れるコンテナは、あちらでクリニックになったり、あとはマタニティーハウスということで再利用されている。そして、このコンテナで自転車を積むすき間にもいろんな物資を入れて、本当に社会貢献できる事業です。しっかりと継続できるように検討いただいて、努力いただきたいと思います。

 

以上で質問を終わります。