第1回定例会 意見 2020.3.27 田中みち子

 

田中みち子 議員

 

生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、令和二年度一般会計予算外四件全てに賛成の立場から意見を申し上げます。

 

新型コロナウイルスの感染が世界的な規模で拡大し、東京都の感染者も急増する中、復興五輪の旗印のもと招致した東京二〇二〇オリンピック・パラリンピック大会は延期されました。震災や原発事故の方々に寄り添うように、聖火リレーの火が福島県にとどまります。取り残されたと感じている方々への思いを新たに、さまざまな難局を乗り越え、真の復興五輪となることを心から祈ります。

令和二年度の予算は、一般会計予算として過去最大の約三千二百七十七億円となりました。避難所への非常用電源や災害時の情報伝達の改善など、昨年の台風被害を契機とした対策強化が盛り込まれていますが、これだけでは不十分です。温暖化が進むにつれ、感染症、洪水など、人類に及ぼす影響は格段に増してくると言われています。これらの現実を直視し、将来を見据えた対策が必要です。気候変動非常事態宣言を行い、地球温暖化に起因する諸問題への緩和策と解決策を区民と協力のもとに進めることが重要です。再生可能エネルギー率を高めるなど、脱炭素へ向けた取り組みを強化するとともに、私たちが持続可能な社会に向けて、今何を選択することが問題の解決につながるのか、誰一人取り残されない社会の実現に向けた行動を見据えた対策を進めてください。

一方で、新型コロナウイルスの感染症拡大による区内経済への影響は避けられず、今後の区財政についても大きく見直しが迫られます。当初予算の範囲内で無利子の感染症対策緊急融資制度の素早い実施を示したことを評価します。障害者や子育て支援、介護など、区民生活に欠かせないサービス継続への支援も視野に、早急な補正予算の検討も必要です。今後も、区民の暮らしを守るために欠かせない支出を第一に確保した堅実な財政運営を求めます。

また、WHOがパンデミックと認めた現状を踏まえ、感染症の拡大に伴う危機的状況を前提とした対策が必要です。今、東京都が都市封鎖を行う可能性も出ています。移動を制限した感染防止策を進めれば、経済は停滞し、難しいかじ取りが求められます。看護師、人工呼吸器などが絶望的に足りないイタリアの医療崩壊などの現状を教訓に、区としても、最悪のことが起こることを想定した計画が必要です。

しかし、身近な感染者が少ないせいか、危機意識を持ち続けることが難しいと感じます。先週末は大変温かく、桜も五分咲きだった砧公園は、飲食を伴う人の輪が多く、コロナ感染症拡大を防止するための飲食自粛を求めるチラシや放送がむなしくもありました。やっと東京都は、今週末の外出自粛を決定しました。私たちも、サイレントキャリアであるかもしれないといった危機感を高め、世田谷区としても東京都や医療機関との役割分担を明確にしたリスクマネジメントが必要です。

さらに、突然の一斉休校で、子どもたちが友達と過ごす場、学びの場から引き離されました。この間、校庭の開放や給食の休止に伴う食の支援への拡充がなされましたが、必要な子どもへ確実に届いているのか、課題が残ります。今後は、関連部署としっかりと連携し、子どもの権利擁護や、子どもの最善の利益が保障された体制の強化が必要です。また、学校給食にはできるだけ有機食材を使用するなど、子どもの食の安心安全への対策も進めてください。

こうした状況下、いよいよ四月から世田谷区立の児童相談所が開設します。養育家庭をふやす取り組みとともに、子どもアドボカシーが保障された体制を整え、地元の情報を一番よく知る子ども家庭支援センターや、東京都を初めとする全国の児童相談所とも密接な情報共有を図り、切れ目のない児童保護行政を実現してください。

海の生態系に深刻な影響を及ぼす海洋汚染の問題も待ったなしです。香りの害、香害のもととなる香りを包むマイクロカプセルや、人工芝などプラスチック製品の使用抑制も必要です。また、プラスチックは石油です。今後もごみとして燃やし続けることは、パリ協定の達成とも相入れません。レジ袋の有料化は、プラスチックごみ削減の第一歩です。マイバッグの持参率を高めることや、ペットボトルの削減に向け、マイボトル対応の給水機の設置と周知を同時に進めるとともに、今こそごみの発生抑制と容リ法に基づく分別回収を行うことが必要です。

地震災害や洪水対策でも、区民一人一人の災害対策の向上には、危機意識を目に見える形で周知することが必要です。区はハザードマップを改定し、全戸配布する計画です。区民がどのような場合に、いつ、自分はどこに避難して、ペットも含めた家族のために何を備蓄すればよいのか、きちんと伝わるよう、最大限の工夫と努力を求めます。

犯罪被害者支援については、相談窓口体制の一本化や専門性のある職員を位置づけることはもちろんですが、被害者の相談件数の約過半数以上を占める性被害については、ほかの被害者と分けて対策を立てることが必要です。また、犯罪によっては、加害者も被害者であるという認識のもと、世田谷区独自の対策が進むよう取り組むことを求めます。

最後に、二〇二〇年度は、地域行政制度の条例化に向け検討が進みます。各地区のまちづくりセンターが地域福祉、防災、地区の参加と協働のプラットフォームとしての三つの役割をどう果たしていくのか、現場に根差した議論が必要です。町会・自治会だけに負担を負わせない、さまざまなステークホルダーが参加できる地域運営の形を示す条例となることを求め、生活者ネットワークの賛成意見といたします。(拍手)