第3回定例会 一般質問と答弁 2021.9.17 高岡じゅん子

高岡じゅん子 議員 通告に従い、順次質問します。

初めに、世田谷区を未来につなぐジェンダー主流化について質問します。生活者ネットワークは、区政の隅々まで生活の視点、女性の視点を行き届かせ、暮らしやすい世田谷区をつくることを使命として活動を続けてまいりました。

今、策定中の令和四・五年度の実施計画は、世田谷区未来つながるプランと銘打っています。区民の半数を占める女性が安心して暮らし、さらには、希望を持って子どもを産み育てられる環境を整えなければ、暮らしの場として選ばれる自治体になることはできず、世田谷区の持続可能性は担保できません。今回のプランでは、SDGsの視点を生かしたコロナ後を見据えた持続可能な社会の実現という政策の大きな柱の中に、目標五、ジェンダー平等の実現が組み入れられていることは評価します。

昨日は田中みち子が、女性に対する暴力の撲滅を特に取り上げ、ジェンダー主流化に向け全庁が足並みをそろえて、リプロダクティブ・ヘルス・ライツの啓発に努めてほしい、そのことを求めました。

ジェンダー平等については、経済対策面、特に新型コロナの経済的影響を一番切実に受け、格差が拡大している非正規雇用やシングルマザーなどの苦しい立場にある女性の生活安定が喫緊の課題となっています。ジェンダー問題を男女共同参画のみの課題と考えず、無意識のジェンダーバイアスが働いていないか、全庁の政策決定の場でこそ常に点検を重ね、実効性のある取組を進めていくことが求められます。直近の実施計画に、ジェンダー主流化の視点をしっかり盛り込むことを求め、区長に見解を伺います。

次に、気候非常事態と災害対策、水と緑の保全の一体的推進を求めて質問します。

気候危機、気候崩壊という言葉が常識となり、都市型水害を起こす異常気象は、世田谷区各所で発生しています。気候非常事態宣言を発表した世田谷区は、地球温暖化対策地域推進計画を二〇五〇年CO2ゼロという目標に対応した行動計画にするため、若い世代を含む、より多くの区民の参加と共感を引き出すような形で、今後一年半をかけて刷新してく予定と聞いています。計画策定の間も、気候危機に対して座して待つのではなく、豪雨対策、水と緑の保全など、区と区民が共に気候危機を緩和する行動を始めなければ、安全で持続可能な世田谷は達成できません。

今年の八月十五日の豪雨では、目黒川と蛇崩川の合流地点の水位が一時危険水位に達するなど、豪雨対策重点地域に入っていない地区の住民にも、水害が他人事ではないということが、改めて実感されました。既に災害級と言われている気候危機を乗り切るためには、区民一人一人が、どこにいても起こり得る都市型水害を自分のこととして向き合う必要があります。

区は、うめとぴあや上用賀公園などに雨庭をつくり、自然の力を利用して、雨水が下水や川へ急激な流入をしない、そういった土地利用の実例を見せてきました。それを見て、豪雨対策や水や緑の保全に役立つのであれば、自分たちも区と協力して身近な場所に雨庭をつくり、維持管理していきたいと思う区民が登場してきています。十一月に開催が予定されているグリーンインフラ学校は、この区民の活動をさらに広げ、環境保全に向けた投資のきっかけとなることを期待します。

来年度以降も、グリーンインフラ学校のような啓発活動を続け、区民の環境問題への理解を高め行動を促す、そういった取組をハード、ソフトの両面から一体となって着実に進めることを求めます。区の見解を伺います。

次に、プラスチックごみゼロを目指す分別回収について質問します。

プラスチック資源循環促進法が今年六月に成立しました。この法律でもプラスチック製品の製造や使用、流通に関わる事業者が、廃棄までコスト負担も含め責任を持つ拡大生産者責任の考え方は十分に取り入れられていません。新たな法律の枠組みの下で、自治体の費用負担が増大することすら予想されます。

世田谷区は、容器包装リサイクル法においても、プラスチック容器の処理経費のうち、自治体の負担が大き過ぎるとし、この仕組みを利用した分別回収は、ペットボトルを除き行っていません。

しかし、気候非常事態宣言を行い、二〇五〇年にはCO2排出実質ゼロを目指す世田谷区としては、化石由来の素材であるプラスチックの焼却をも、最終的にはゼロを目指す必要があります。まずは、プラスチック製品をごみにしないリユースが最優先です。それでもゼロにできないものをどうしていくか。問題を直視し、取り組む必要があります。世田谷区も、区民の問題意識を喚起し、燃やすごみを最小限にする処理方法の実現に向け、分別回収の検討を進めていくべきです。区の見解を伺います。

プラスチック資源の循環に関しても、遠方に運ぶのではなく、区民の見える場所で進めることが、CO2排出の観点からも望ましい形です。しかし、住宅都市世田谷では、そのための施設用地の確保は非常に困難です。世田谷清掃工場の建て替え計画が具現化しようとしています。焼却炉の大規模化よりも、プラスチックごみ対策にその用地を使うよう、世田谷生活者ネットワークは繰り返し提案してきました。東京二十三区清掃一部事務組合に対し、今のタイミングを捉え、区として強く働きかけていくことを求め、区の見解を伺います。

最後に、手話言語と障害者差別解消の進め方について質問します。

東京二〇二〇オリンピック・パラリンピックに向け、世田谷区は先導的共生社会ホストタウンとして取組を進めてきました。障害者差別解消に向けた区独自の条例こそ、この取組のレガシーとなるものと期待しています。パラリンピック開催を機に、車椅子利用者に向けての合理的配慮など、誰もが気づきやすい障害者に対する配慮は、東京都内全体でかなり進んだと言えます。

そういった中でも、精神障害や高次脳機能障害、聴覚障害など外見では気づかれにくい障害への理解はまだまだ十分とは言えません。障害者差別解消に向けた条例検討に当たり、このような一見しては分かりにくい障害を抱える当事者の声を条例に反映させるため、当事者の声を聞き出す場の設定や会議メンバーの選定などの工夫が必要です。条例づくりにおける取組を求め、区の見解を伺います。

手話言語をどのように条例に位置づけるかについては、東京都の条例のように、差別解消全体の条例に含めてしまうことがよいことなのかどうかを含め、丁寧な議論が必要だと考えます。どのような位置づけになるにしろ、災害時の緊急情報など、命に関わる情報や暮らしに欠かせないお知らせが、聴覚障害、視覚障害、盲聾などの重複障害といったそれぞれの障害特性に合った形で提供される情報保障の視点は欠かせません。区の責務としての情報保障の位置づけについて、区の見解を伺います。

以上で壇上からの質問を終わります。

 

 

区長 高岡議員にお答えをいたします。

ジェンダー主流化についての私の見解であります。

国のSDGs実施指針では、ジェンダー平等の実現及びジェンダー視点の主流化は、分野横断的な価値として、SDGsの全てのゴールの実現に不可欠とし、常にこの視点を確保した上で、各施策に反映することが必要だとされています。誰一人取り残されない持続可能な社会を実現するために、SDGsを原動力として、区における各分野、各政策についての計画においても、ジェンダー主流化の視点を反映し、取り組むものと考えています。

世田谷区第二次男女共同参画プラン(後期計画)素案では、男女共同参画施策やジェンダー平等化等の取組について、各所管が持つ様々な事業実績やデータをジェンダー統計の視点で活用しながら検討を進めています。ただ、議員御指摘のように、ジェンダー平等、あるいはジェンダー主流化、これが男女共同参画というこの枠組みの中でとどまっているのではなくて、各分野、高齢者から子どもまで、区民全体それぞれの方面に区として展開している施策に、それぞれの体系の中にしっかりビルトインされることが重要だろうというふうに考えております。

(仮称)世田谷区未来つながるプランは、これからの後の十年間の次の基本計画につながっていく二年間、いわば橋渡しのプランでございますが、災害分野や福祉分野の各分野それぞれに、ジェンダー主流化の視点がしっかり反映していけるように指示をしてまいります。

 

豪雨対策推進担当参事 私からは、区民の環境問題への理解を高め、行動を促す取組についてお答え申し上げます。

区は、昨年十月に世田谷区気候緊急事態宣言を行いまして、二〇五〇年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指しております。二酸化炭素の増加に伴う地球温暖化は、雨や台風の激甚化、多発化を引き起こし、世田谷でも、河川の溢水や内水氾濫が発生するなど豪雨対策が急務となっております。

お話にございました世田谷区グリーンインフラ学校につきましては、区民を対象にして、有識者の御協力をいただきながら、講義や現場での雨庭づくりなどを通じまして、豪雨対策や雨水利用、生物多様性の保全など、多様な効果が期待できるグリーンインフラを区民へ広げていくことを目的にして開催するものでございまして、土木と緑の所管が連携して取り組む普及啓発活動の一つでございます。

今後も、豪雨対策や緑と水の保全につながるグリーンインフラの実例を示し、広報、リーフレット等でPRするとともに、区民参加の機会を設けるなど、区民の行動を促す啓発活動に創意工夫をして、引き続き取り組んでまいります。

以上でございます。

 

清掃・リサイクル部長 私からは、プラスチックごみゼロにつきまして、二点お答えいたします。

まず、プラスチックの分別回収の検討につきましてお答えいたします。

他のごみと同様に、プラスチックごみについても、第一に発生抑制策によりその発生量を減らす必要がございます。区では、小学生を対象に、プラスチックごみの発生の少ないお買い物方法を学習するエコなお買い物体験や、プラスチックの削減に取り組む店舗を認定するせたがやエコフレンドリーショップ等の発生抑制策を進めております。

このような発生抑制を行った上で、なお発生する使用済みのプラスチックにつきましては、再使用、リサイクル、あるいは熱回収といった取組を行うことになります。

お話しのありました今年六月に成立した新法においては、拡大生産者責任が不十分である一方で、製品プラスチックの分別回収につきまして、収集から再商品化までの全ての費用が市区町村の負担となる懸念がございます。今後は、費用面をはじめ全庁的に議論を深めていくとともに、学識経験者、区民、事業者で構成される清掃・リサイクル審議会に諮問するなど、区民の御意見もいただきながら、プラスチックの分別回収について丁寧に検討を進めてまいります。

次に、世田谷清掃工場の建て替えに伴う用地の確保についてでございます。

東京二十三区清掃一部事務組合では、本年二月に作成した一般廃棄物処理計画の施設整備計画の中で、世田谷清掃工場の建て替えスケジュールを盛り込み、令和八年度から建て替えに着手することとしております。工場の敷地は約三万平米あり、そのうち約千二百平米をガラス瓶の中間処理施設である区資源循環センター「リセタ」で使用しておりますが、これは清掃事業移管前の東京都と本区の合意に基づくものでございます。

二〇〇〇年の清掃事業移管以降、清掃工場の敷地は清掃一部事務組合の所有となり、二十三区の共有財産であることから、地元区に対する用地の対応は行われておりません。建て替えに当たっては、区と清掃一部事務組合との協議の場がございます。現在、公募で決まった煙突のデザインの継承、災害時に備えた防災機能の整備など、要望事項を庁内関係所管で整理し、本年中にまとめてまいりたいと思っております。

以上でございます。

 

障害福祉部長 私からは、条例検討の進め方について二点御答弁申し上げます。

まず、一見して分かりにくい障害を抱える当事者の方の件についてです。

区では、令和三年三月に策定いたしましたせたがやノーマライゼーションプランに基づきまして、障害理解の促進、差別解消、手話言語等情報コミュニケーションなどに関する条例の制定に向けた検討を進めております。検討に当たりましては、障害当事者や障害者団体、それから学識経験者等で構成する専門家会議を設置するとともに、障害施策推進協議会や自立支援協議会など、既存の会議体においても議論をいただく予定としております。

そうした中で、お話しの精神や聴覚、内部障害など見た目には分かりにくい障害にも配慮して検討する必要があるというふうに考えてございます。条例の検討を進める中で、当事者から社会参加を促すための工夫等についても丁寧に意見を伺うとともに、シンポジウムなどを通して、区民にも広く周知し、当事者や区民の声を条例に反映できるよう努めてまいりたいと考えております。

続きまして、障害特性に合った形で提供される情報保障の視点についてです。

障害のある方が必要とされる情報を的確に提供するためには、画一的に対応するのではなく、その方の障害の状況を踏まえた柔軟な対応が必要であるというふうに考えております。せたがやノーマライゼーションプランでは、情報アクセシビリティーの向上を施策の一つに位置づけ、印刷物の発行に伴う視覚障害者への配慮や、多様な電子媒体を活用した即時性のある情報提供等に取り組むことにしております。また、昨今の先進技術の進展を鑑み、ICTを活用した支援の検討も重要であるというふうに認識をしてございます。

障害者の日常生活への支援はもちろんですけれども、災害時など緊急時における情報伝達は、安全かつ安心な行動につなげるために重要であるというふうに考えております。そのため、どのような内容が有効なのかなどについても、当事者や団体等から意見を伺って、条例の検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

以上です。

 

高岡じゅん子 議員 ジェンダー主流化について、区長から、災害対策分野や福祉分野なども含め、全庁的に政策づくりの視点に取り入れていくように指示するという、そういう御答弁いただきました。ぜひ各分野の皆様が、ジェンダー主流化を自分事として感じていただいて取り組んで、向き合っていただけるように私どもも求め続けてまいりますし、ぜひそのようにして政策づくりを進めていただきたいと要望いたします。

あと、プラスチックのごみ問題ですけれども、本当に私たちは長年世田谷区の分別回収のやり方の見直しというのを求め続けてまいりました。今回、本当に一歩踏み込んで動き出すということで、とてもうれしいんですが、本当に真摯で建設的な取組を求めます。区民に多分、審議会の委員の公募とかも始まると思います。環境問題について本当に真剣に取り組んで……。