まず、予防原則に基づく環境対策について伺います。
生活者ネットワークは、これまでも一貫して、人体にも環境にも影響が少ない石けんの有用性を訴えてまいりました。石油由来の合成界面活性剤からできている洗浄剤、いわゆる合成洗剤は、手荒れの原因となるだけでなく、界面活性剤が水の中に残り、水質汚染、環境汚染の原因にもなってしまいます。石けんは約一日で完全に分解され、二酸化炭素と水になります。手荒れもしません。コロナウイルスにも有効です。
昨年、世田谷区の公共施設の手洗い剤について区民とともに調べ、世田谷地域振興課にも情報をいただきました。やはり手洗い用に合成洗剤の使用が多く見られました。実際に近所のまちづくりセンターや区民施設などに行ってみましたが、石けんを使っているところはありませんでした。石けんを使わない理由は、これまで使っているものだから、管理会社が買っているなどで特に理由はないそうです。環境や健康影響の理解なく、安易な使用です。本庁舎のトイレの手洗い洗浄剤には、平成二十六年からリサイクル水石けんが使われていました。本庁舎でこんなに長く使われているということは、ほかの公共施設でも使えるはずです。区公共施設の洗浄剤は石けんを使用するべきです。区の見解を伺います。
次に、除草剤、殺虫剤について伺います。
人体に影響が出るような除草剤、殺虫剤が市場に出ています。草や虫のみならず、土の中にいる微生物なども殺し、土壌にも影響を及ぼすものもあります。世田谷区では区施設の除草剤の使用状況を公表していますが、福祉施設などでは健康影響が問題になっている除草剤がまだ使用されています。以前、生活者ネットワークから使用禁止を求め、区施設では使わないようになったと思っていました。特に福祉施設の利用者には、化学物質などに敏感な方々もおられます。公表するだけでなく、有害であることを伝え、区施設では使用を禁止するべきです。区の見解を伺います。
先日、砧地域の社協だより第四十五号に、地域貢献型自動販売機の設置を進める記事があり、ペットボトルの並ぶ自動販売機の写真が掲載されていました。設置に御協力いただくことで地域福祉の推進につながるものですと書かれています。この自動販売機の増設はCO2とプラスチックごみの削減に逆行しています。地域貢献型とはいえ、私たちには賛成できません。
自動販売機のこと、もちろんそうですが、この中のペットボトルのこと、二〇二〇年第一回定例会の一般質問で、ペットボトルを扱わない自動販売機について提案しました。そのときに、ペットボトルを取り扱わない自動販売機の一部導入について、他自治体の取組事例を参考にしながら、ペットボトルの使用削減に向けて関係所管と協議検討してまいりたいという回答をいただきました。二十三区の中でも、練馬区の本庁舎にはペットボトルを扱わない自動販売機が設置されていると聞いています。世田谷区の本庁舎にはペットボトルの入った自動販売機があります。そもそも区民は、飲み物を買いに区役所に来ようとは思いません。のどが渇いたときに、無料の給水機、給茶機があるほうがよっぽど区民サービスと言えるのではないでしょうか。海洋汚染、地球温暖化につながるこのプラスチックごみの問題、本当に今、待ったなしです。その後の検討でどのように取り組まれているのか、また、ほかにペットボトルの削減を進めるための取組はどのようにされているのかを伺います。
石けん、除草剤、殺虫剤、ペットボトル、このような話をすると必ず施設によってとか、担当所管がとか、委託なのでなどと言われます。しかし、これは全て世田谷区の施設のことです。管理委託であっても、所管がどこであっても、気候非常事態宣言をした世田谷区の理念の下に、区が責任を持ってリーダーシップを発揮し、環境対策を行っていくべきです。それぞれ仕様書などは異なるということですが、統一した基本的な対策を明記する必要があると考えます。区の見解を伺います。
そして、ゲノム編集食品、市場に出てまいりました。血圧を下げる高GABAトマト、肉厚なマダイに加え、十月二十九日、トラフグの予約販売が始まりました。世界でゲノム編集の魚の流通が可能になっているのは日本だけです。ゲノムとは、生物形成維持に必要な最小限の遺伝情報のことです。その特定の場所を操作して性質を変えるのがゲノム編集です。遺伝子を切って壊したり、操作すると思わぬ変異が起こるおそれもあり、環境が変わったときや世代を超えての影響については分からない、研究室から出してはいけないと訴えるゲノム編集の開発研究者もいます。マダイ、トラフグの会社では、陸上の施設での養殖で生態系への影響が出ないようにすると言います。ということは、生態系への影響が出る可能性があるのです。これからゲノム編集小麦の開放圃場での栽培実験も始まるということです。本当にまだまだ実験段階、未知なものです。子どもたちへの影響を考えると、計り知れない不安が募ります。
昭島市では、学校給食用物資購入基準書を、遺伝子組換えを含む遺伝子操作を行っていないものという記述に書き換えました。はっきり安全とは言えない、まだどんな影響が出るか分からない食べ物を子どもたちに食べさせてはいけません。世田谷区でも予防原則に基づいて、遺伝子組換え食品同様に学校給食に入れないようにすべきと考えます。区の見解を伺います。
続いて、障害のある方の災害時の避難について伺います。
災害時、もちろん在宅避難ができれば一番ですが、避難しなければならない状況も想定し、避難行動要支援者の方の個別避難計画などが進められています。本当に災害はいつどこで起こるか分かりません。学校や施設、作業所、仕事場などで避難訓練が行われていることとは思いますが、自宅からの避難、避難所への避難もしておかなければなりません。地域で行われる避難訓練に障害のある方や要支援者の参加はあるのでしょうか。
避難訓練に参加するにも、支援者が必要であったり、遠慮があったり、周りも声をかけるのをちゅうちょしたりということがあるのではないでしょうか。避難訓練を通して地域の人がお互いに顔見知りになり、声をかけ合えるようになれば安心です。支援者もきっと増えることと思います。障害のある方の避難訓練の参加が求められますが、参加しやすい環境をつくるなど、現状と今後の取組について伺います。
人道憲章と人道支援における最低基準、スフィア基準に、支援や防災計画立案の際は障害者の能力とニーズを考慮に入れ、意識して、物理的またはコミュニケーションや周囲の差別的概念などの問題を取り除き、彼らの支援へのアクセスと参加を促進するようにするとあります。避難所の備蓄品の中に、その避難所に避難される方に必要な情報やコミュニケーションツール、支援グッズはあるでしょうか。
例えば透明マスク、聴覚障害の方や慣れない状況で人の顔の表情から様々読み取ることが必要な方もいます。ほかにも障害によって必要なものがあるかもしれません。地域でその避難所を利用する方に必要な支援グッズを、当事者御本人と話して準備し、避難所運営の方々にも理解していただくことが必要です。見解を伺います。
国分寺市には、災害時等障害者支援バンダナがあります。こちらのようなものなんです。これは国分寺市からお借りしました。このように、例えば耳が不自由ですとか、支援が必要ですとかということが書いてありまして、これをこのように三角に折って、こうして使います。多くの自治体や、また支援団体などもつくっているんですが、国分寺市のものは、一つの角にこのように書き込めるような角があります。例えば大きな音が苦手ですとか、ゆっくり話してください、また、片方の耳が不自由な方などは、聞こえるほう、右側から声をかけてくださいなど、その人に合わせて伝えたいことが伝わるようなものです。避難所などには様々な立場の人が来ます。それぞれに情報が伝え合えるような、そんな工夫が必要です。このような支援グッズ、世田谷区でも当事者の方と一緒につくることを提案します。区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。
環境政策部長 私からは、世田谷区の予防原則に基づく環境対策について四点御答弁申し上げます。
まず、区公共施設における石けんの使用についてです。
区では、区施設における石けん使用の推進について周知するとともに、区民利用施設等で使用している石けん等の洗剤について定期的に調査を行っており、水環境保全の試料の一部として、石けんや洗剤等の適正使用などによる生活排水対策に役立てております。化学物質の環境への排出の把握及び届出については、化学物質排出把握管理促進法、いわゆるPRTR制度にて必要な物質が定められておりますが、石けんについてはその制度の対象となる成分が含まれていない製品もございます。区といたしましても、公共施設で利用する石けんや洗剤等に関しまして、こうした環境に配慮された製品の使用を施設管理者に周知するなどし、促進してまいります。
続いて、人体への影響が疑われる除草剤、殺虫剤等の使用禁止についてです。
区では、世田谷区環境基本計画後期における環境行動指針に基づき、公共施設や住宅地に隣接する土地等の管理に当たっては、できる限り除草剤や農薬を使用しないよう努めてまいりました。令和元年より、区の管理する施設における除草剤、殺虫剤等の使用状況について調査を実施し、公共施設の運営で使用せざるを得ない場合においては、近隣住民等への周知を行うとともに、環境負担及び安全性に配慮した製品を使用するよう促しております。また、区ホームページに公共施設での使用状況を掲示し、区民の安全安心につながるよう情報提供に努めております。
除草剤、殺虫剤等の使用に関しましては、今後も継続的に製品等の安全性や影響に関する情報収集を行うとともに、施設管理者に対する適正な使用への注意喚起に努めてまいります。
続いて、ペットボトル使用削減の取組についてです。
区では一昨年、世田谷プラスチック・スマートプロジェクトを立ち上げ、区民、事業者への啓発、プラスチックごみの発生抑制を推進しております。ペットボトルの削減対策として、昨年十月より区役所の第一・第二庁舎にマイボトルに給水が可能な浄水器を設置し、区の率先行動に取り組んでおります。一方で、自動販売機については、例えば区役所本庁舎には一階ロビーや地下に設置され、来庁者などに御利用いただいております。令和二年第一回定例会にて、ペットボトルを取り扱わない自動販売機の一部導入について、関係所管と協議検討する旨を御答弁いたしましたが、その後、情報収集し、担当所管と現在協議を始めているところでございます。
議員御指摘のペットボトルの使用削減は、海洋プラスチックごみ対策としても大切な課題であり、プラスチック・スマートプロジェクトの一層の推進に向け、取組方針を改めて庁内に周知するとともに、ペットボトルを取り扱わない自動販売機の導入について、担当所管に働きかけを行ってまいります。
最後に、公共施設の管理業務委託の仕様書などに環境対策などについて統一した基本的対策を入れることについてです。
これまで学校など区施設における手洗い用の石けんの使用や除草剤を含む農薬の使用時の注意喚起並びにペットボトルなど使い捨てプラスチック製品の使用抑制を施設管理者に対し周知してまいりました。こうした予防の取組を進めるため、区施設の管理業務委託契約における仕様書に、事業者に理解を求めるという形で環境対策について明記し、事業者への周知や協力につなげるという手法も有効であると考えます。今後も区の率先行動を通して区民の安全安心や環境配慮への理解が進むよう様々な手法を検討してまいります。
私からは以上です。
教育総務部長 私からは、ゲノム編集食品の給食での取扱いについてお答えいたします。
ゲノム編集食品は栄養価を高めたり、病気に強くするなど食料を安定的に確保するため効率的な品種改良の新しい技術として研究開発が進められております。ゲノム編集で細胞のDNAに起こる変化は、従来の品種改良や自然界で起こり得る変化と同程度とされており、遺伝子組換え食品とは異なり、国の食品表示基準に基づく表示義務はございません。新しい技術であり、その仕組みまでは広く知られていないため保護者からは安全面での不安が上がることも想定されますので、明らかにゲノム編集食品であることを判別できる場合などは、今後その使用を控えることとしてまいります。
今後もゲノム編集食品に関する新たな知見や国の食品表示基準の見直しなどの動向を注視し、児童生徒が安心して給食を楽しめる環境を整えてまいります。
以上です。
危機管理部長 私からは、三点につきまして御答弁申し上げます。
初めに、配慮や支援が必要な方々の避難訓練などへの参加についてです。
区といたしましては、避難所運営訓練など地域の訓練において、お話しの障害のある方を含め、配慮や支援が必要な方々の参加は進んでいない状況にあると認識してございます。本来は配慮や支援が必要な方々に地域の訓練に参加していただくことで、周囲の気づきや理解のきっかけとなり、より具体的できめ細やかな配慮や支援につながるものと考えております。こうしたことを踏まえ、避難行動要支援者の個別支援計画の作成を通じまして、適切な避難行動を確保するとともに、配慮や支援を必要とする方々の避難所運営訓練への参加を促すことで、具体的な配慮や支援の取組につなげていきたいと考えてございます。
個別避難計画の作成に当たりましては、避難所での生活までを見通し、細やかな支援や配慮につなげる重要な意味を持つものであるということをしっかりと認識いたしまして、庁内の各所管はそれぞれの役割を果たしつつ、連携いたしまして取り組んでまいります。
次に、障害のある方の情報伝達物品の備蓄と、その活用や工夫について併せて御答弁申し上げます。
御提案いただきました透明マスクや災害時支援用のバンダナにつきましては、日常においても必要とする場面があると考えられることから、障害者支援の取組と連携し、日常の使用も想定しながら、他自治体の取組や当事者の意見を参考に調査研究を進めてまいります。また、避難所運営や支援に当たる方々に対しまして、こうした物品の必要性や活用方法について理解を深めていくことが重要であると考えてございます。
個別支援計画策定の取組を進めつつ、訓練への参加を促進する中で、避難所ごとに避難者の状況に合わせた避難所の備蓄について御要望をいただきました場合、関係所管と連携し、危機管理部といたしましてもその配備を支援するなど、きめ細やかな支援に努めてまいります。
以上でございます。
金井えり子 議員 今、御答弁を様々いただきました。ゲノム編集食品についてなんですが、従来のものと自然界で起こり得る変化と同程度というふうにされている、これは多分国がこういうふうに言っている文言だと思うんですが、どうも実際はそういうふうになっていないような話を本当にたくさん聞きます。ぜひぜひそのあたりのことも研究していただきまして、本当に疑わしきは使わない、予防原則で全ての区民、環境を守っていただきたいと思いまして、そちらを要望して、以上で質問を終わります。