第2回定例会 一般質問と答弁 2023・06・16 関口江利子

令和5年6月 定例会-06月16日

関口江利子 議員 生活者ネットワークの関口江利子です。本日が初めての質問となります。どうぞよろしくお願いいたします。

初めに、未成年者のインターネット利用に関係して二つお聞きます。

全国で九十三万人の中高校生にインターネット依存の兆候があり、そのうち七から八割がゲームへの依存と報告されています。様々な問題があるインターネット依存ですが、今回はゲームによる高額課金トラブルについて取り上げたいと思います。

世田谷区では、十八歳未満の課金トラブルの相談件数は、最近五年間で百二十一件、年々増加傾向にあります。被害総額は五千万円近くに上り、一件当たりの課金額は常に全国平均を上回っています。これはコロナ禍の影響による一過性の数字ではなく、バーチャルとリアルが同一化しつつあるこれからの世代へ何らかの対応をしていかなければ、さらに増え続けると危惧します。

読売新聞の特集記事によると、二十五歳までは感情をコントロールする脳の部位が未成熟な段階にあり、ネット情報の強い刺激に影響されやすいとの指摘がありました。そんな子どもへのブレーキ役は保護者や教師が担ってきましたが、インターネット上では、大人から行動が見えにくく、巧みな課金への誘導から子どもを守り切れていない実態があります。保護者と教師が共通の危機意識を持ち、これまでよりも、もう一歩踏み込んだリテラシー教育を進める必要があります。

これらの現状を踏まえた上で、未成年者が課金トラブルから身を守る方法について、区としてどのように考えているかお聞きします。

また、周囲を見渡すと、ゲームやスマホを手放せない子どもについて、保護者の相談ニーズは拡大しています。世田谷区の相談窓口は、電話予約で対面を基本としていますが、例えば東京都が開設しているネット・スマホのなやみを解決こたエールは、LINEとメールでの相談が約七割を占めています。大きなトラブルになる前に、気軽に本人や家族が相談できる開かれた窓口が必要です。インターネット、スマホの利用に不安がある本人や保護者がアクセスしやすい相談窓口と支援体制について、区の見解をお尋ねします。

次に、子どもの事故防止について二つお聞きします。

消費生活用製品安全法の特定製品に、強力な磁石を連結して造形物を製作するマグネットセットと、水分を吸収して何倍にも体積が増える水で膨らむボールが指定されました。どちらも乳幼児による誤飲事故が複数件起きており、三十七個の磁石を飲み込み、体内で腸壁を挟んでくっつき合い、小腸の壁に三か所も穴が開いた例や、小さな水で膨らむボールが体内で膨らみ腸閉塞を引き起こした例などが報告されています。

六月十九日から、このような危険性がある商品については販売されなくなりますが、既に購入されている家庭や保育施設、これから出産を迎える保護者へ、母と子の保健バッグを利用するなど、周知、注意喚起が急がれます。

子どもの命を脅かしかねない誤飲事故を防ぐために、どのように啓発をしていくのかお尋ねします。さらに、乳幼児の保護者や保育施設へ確実に情報を伝えるために、各関係所管からの答弁を求めます。

子どもの交通事故を防ぐ道路環境整備についても伺います。

二〇二一年、用賀地域と砧公園をつなぐ環状八号線の横断歩道で、小学生が自動車と接触して亡くなる事故がありました。きょうだい、保護者の前で起きた痛ましい事故に私も献花をしに行きました。

また、地元上用賀では、新しくスポーツ施設を含む公園が拡張整備される計画です。日常的に運動ができる健康維持の場所、また地域の居場所として住民が期待する一方で、施設周辺道路の安全性の担保が不安視されています。世田谷通り沿いに正面入り口が予定されていますが、諸条件のため、信号機や横断歩道の新設が困難だとされています。実はこの場所でも数十年前に死亡事故が起きており、長年住民が横断歩道を要望してきました。

子どもが日常的に利用する場所へ安心して往来できるように、交通量が多い幹線道路であっても、むしろ交通量が多い道路こそ、矢印式信号機や歩車分離式信号機の設置を進めていくべきだと考えます。これらの信号機は、設置することで渋滞の助長、経済的影響もあると言われます。また、設置するには、歩車分離化により抑止できたと考えられる人身事故が過去二年間に二件以上発生した場所という原則もあるようですが、何よりも人命最優先に、子どもの命を守ることに重きを置いて、関係管理者へ働きかけを行っていただくことを強く求め、区の見解を伺います。

三つ目に、区民の参加と協働によるサーキュラーエコノミーの実現に向けて二つお聞きします。

昨年、プラスチック資源循環法が施行され、世田谷区においても、清掃・リサイクル審議会でこの件について協議が重ねられました。今月に入り、プラスチックの資源化を進めるため、分別収集を進めるべきとの提言が出されています。世田谷区において、プラスチックは一部資源回収されているもののほとんどを燃やしており、可燃ごみの中では、生ごみに次いで多く、約二〇%を占めています。

プラスチックの課題は、一、分解されにくい、二、商品化する上で添加される有毒な化学物質が人体や自然界に及ぼす影響は未知数、三、排出ごみのうち一部はポイ捨てなどで土壌や空気、海洋プラスチック汚染の原因となる、四、原料から商品化、ごみ処理までのCO2排出、五、使用済プラスチックの再処理能力の逼迫など多岐にわたります。

これらのことからも、プラスチックは焼却処理するのではなく、大量生産、大量消費、大量廃棄を見直し、サーキュラーエコノミーを前提としたライフスタイルへ移行していくことが必要だと考えます。

昨年十一月に、区立小中学校へ、給食の牛乳パックに添えられるプラスチックストローの使用を極力控えることが周知されました。この取組で減らせるプラスチックの量は微々たるものかもしれませんが、子どもたちが、なぜストローを使用しないのか、それが自分たちの未来にどう影響するのかを知り、考える実践教育の場として有益です。もちろんそのためには、学校、教師の協力が欠かせません。

また、エコプラザ用賀やリサイクル千歳台は、リサイクルの拠点としての役割はもちろんのこと、様々な講座を用いて、広く区民へ啓発を果たしていると認識しています。今後、プラスチックの資源化の促進や、ごみをつくらないライフスタイルの普及に向け、啓発施設や学びの機会をさらに増やしていくことを求めます。焼却ごみを出さないライフスタイルの啓発について、区の見解をお聞きします。

区民にプラスチックの考え方を浸透するには、区が率先して行動しなければならないと考えます。例えばプラスチックを極力減らした紙製のこのような水もつくられています。区長は、今年度、各地区で車座集会を予定しておられますが、そのような場を使い、ペットボトルをやめることから始めてはいかがでしょうか。また、新庁舎建設に際しては、目につく各所に給水器を置くことで、区役所に行くときはマイボトル、こんなことを当たり前にすることができるのではないでしょうか。

区民の身近なところからプラスチックについて考える機会をつくり、小さなことから日常の景色を変えることで少しずつ進めていくことが大切です。サーキュラーエコノミーの実現に向けて、区の率先行動の徹底と参加と協働で進めるごみの抑制について、区長の見解を求めます。

以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)

〔保坂区長登壇〕

◎保坂 区長 関口議員にお答えをします。

サーキュラーエコノミーの実現に向けて、区の率先垂範ということでのお尋ねでございます。

海洋プラスチック問題や地球温暖化対策の幅広い課題に対応して、持続可能な社会の実現や、次の世代に豊かな環境を引き継いでいくために、プラスチックの資源循環について、区が率先して、区民や事業者とともに取組を進めていくことは大変重要だと考えております。

そのため、従来の大量生産、大量消費を前提とした経済システムから、この経済活動の中で当然のごとく廃棄されていた製品を資源と考え、循環させるサーキュラーエコノミー、循環型経済への移行を強く推進していく必要があると考えております。

この三月、基本計画審議会から答申を受けました大綱を基に区でまとめました次期世田谷区基本計画骨子におきましても、資源を浪費せずに循環的に使い、多様な生物に支えられた生態系の働きを高めていく持続可能な暮らしを実現するためには、区民の日常行動やビジネススタイルの変容が必要です。区民や事業者の積極的な参加が得られるよう、意識や行動の変革を促す取組やそれを支えるルールなど基盤の整備を進め、まちづくりとも連動させながら行動変容を加速していきますと記述しております。

持続可能な環境を次世代に残していくためには、区民一人一人の協力が必要不可欠であるとともに、区自らの率先垂範ということももちろんでございまして、車座集会などの機会を捉えて私自身も区民に訴え、行動変容を促し、ともに資源循環型社会への実現に向けて積極的に取り組んでまいります。

以上です。

◎経済産業部長 未成年者のネットトラブルに関して、まず御答弁を申し上げます。

子どものインターネットに関わるトラブルを少しでも減らすためには、便利さの裏に潜んでいる脅威やルールを保護者と子どもが共に理解し、適切に使用することが大切です。しかしながら、これだけインターネットが普及した状況においては、従来までと同様の啓発を続けるだけでは、今後も子どもがますます金銭トラブルなどに巻き込まれるのではないかと危惧しているところでございます。そのため、これまでのリーフレットなどの活用に加え、今後は区の公式LINEの活用や、ホームページにリンクさせるための二次元コードを注意喚起のチラシにつけるなど、啓発の効果をさらに高める工夫をしてまいります。

また、ネットリテラシー教育につきましては、各学校においてネットリテラシー養成講座が行われておりますが、加えて、今後、教育委員会とよく相談をしながら、校長会などでトラブルの実情を伝えることで、当事者である保護者や子どもへ情報提供や普及啓発がより進むよう工夫してまいりたいと考えてございます。

続きまして、子どもの事故防止に関した特定製品の注意喚起について御答弁申し上げます。

国は、マグネットセットと水で膨らむボールの二つの製品を、事故が発生した場合の危険性が大きく被害も重大であるものとして、消費生活用製品安全法施行令で新たに特定製品に指定し、技術基準に適合しない製品の販売を規制することといたしました。既に該当する商品を使用している方には、子どもにさわらせないよう十分に注意してもらい、万が一、誤飲が疑われる場合にはすぐに医療機関を受診してもらうことをお伝えすること、また、技術基準に適合しない製品が販売されていた場合は購入しないよう注意喚起することが重要です。

今後、区としても、国や東京都とも連携し、該当所管へ迅速に情報を伝達することで、当事者である保護者の方々などに、適宜適切に情報が正しく伝わり、子どもの事故の防止につながるよう普及啓発を進めてまいります。

以上でございます。

◎世田谷保健所長 私からは、所管の二点につきましてお答え申し上げます。

まず、インターネット、スマホ利用についての相談窓口と支援体制についてでございますが、近年、ゲームに過度にのめり込むことにより、日常生活や社会生活に著しい影響を及ぼすゲーム依存症が問題となっており、令和元年には、WHOにおいてゲーム障害を疾病に位置づけました。また、令和三年度、区が保健センターで実施したスマホ・ゲーム依存に関する講演会には多くの保護者の参加があったことから、関心が高いことも把握をしております。

区では、スマホ等の依存に関する相談支援は、専門医と保健師による子ども・思春期こころの相談や、依存症相談の中で対応しております。また、教育委員会と連携し、児童生徒に配付のタブレットのホーム画面から直接区のホームページの相談案内にアクセスできるよう整え、その中では、お話しの東京都の相談窓口を案内しています。

今後、スマホ等の依存に関する悩みについても相談できる旨を案内に明記していくとともに、保護者に向けても、教育委員会を通じて相談窓口の情報が届くよう努めてまいります。

次に、子どもの誤飲事故を防ぐための保護者への周知でございます。

世田谷保健所は、これまでも子どもの事故防止について、主に乳児期家庭訪問の機会に対面で、保護者に転落防止や誤飲についての情報提供と注意喚起を行ってまいりました。このたびの誤飲事故防止の件につきましては、妊娠届を提出された際にお渡しする母と子の保健バッグの中に啓発チラシを封入し、注意喚起を行います。今後も、ネウボラ面接や乳児期家庭訪問、乳幼児健診などの機会を活用した周知啓発を行い、事故防止に努め、子どもの生命を守る取組を進めてまいります。

私からは以上です。

◎みどり33推進担当部長 私からは、子どもの交通事故を防ぐ道路環境整備についてお答えいたします。

用賀七条通りと東京都道環状八号線の交差点で起きた小学校四年生の死亡事故につきましては、二度と起こしてはいけない非常にいたたまれない事故でございました。この事故が起きた環状八号線を横断したところには、都立砧公園や区立大蔵運動公園など、世代を問わず日々多くの方に親しまれている公園がございます。また、現在事業を進めております上用賀公園の拡張計画は、メインエントランスを世田谷通りに面する計画としてございまして、世田谷通りを横断し、安全に公園を訪れていただくために、道路環境の改善も検討しなければならないと考えております。

信号機や横断歩道を新設するには幾つかの条件がございますが、環状八号線や、令和十年度以降に順次開設を予定している上用賀公園拡張計画地前の世田谷通りの横断について、地域住民が安心して暮らせるように、交通管理者である警察及び道路管理者である東京都と交通安全対策について庁内関係所管とも連携して粘り強く要請してまいります。

以上でございます。

◎子ども・若者部長 私からは、子どもの誤飲事故を防ぐための保護者への周知方法について御答弁いたします。

子ども・若者部では、注意喚起等の周知依頼がありました場合、二通りの方法で広く乳幼児の保護者に向けて周知を行います。一つは、区の公式LINEを活用して、子育て支援に係る情報発信を行います。もう一つは、保育施設等にお通いの保護者に向けて、施設を通じて周知を行います。これらの方法でできる限り多くの子育て家庭の方へ、子どもの誤飲事故を防ぐための周知について対応してまいります。

以上です。

◎清掃・リサイクル部長 私からは、区民を巻き込んだごみを出さないライフスタイルの啓発について御答弁申し上げます。

区では、世田谷区一般廃棄物処理基本計画におきまして、まずはごみの発生抑制と再使用の2Rに重点を置き、不要なものを発生させない取組を進め、その上で、資源の有効活用を推進する資源循環による持続可能な社会の実現を目指しております。

現在、清掃・リサイクル普及啓発施設などでは、傘、おもちゃなどの修理講座や、区内大学との共催による環境負荷などについて考える親子向けイベントを開催し、今年度からは、リユース事業を拡大するなど、2R活動の普及啓発事業に取り組んでおります。

さらなるごみの減量を推進するためには、普及啓発施設を利用しない区民や事業者に、ごみの発生、排出抑制を意識したライフスタイルや事業活動へ行動変容を促す普及啓発がますます重要であると認識しております。

区といたしましては、ごみ減量に向けた、より一層の普及啓発として、区内の事業者や大学等の意見を取り入れた普及啓発内容の充実、啓発施設から出向いての親子向け食品ロス削減ワークショップや、地域清掃活動への支援などさらなる取組を進め、区民や事業者に分かりやすく、行動につながる、ごみを排出しない、資源を循環させる啓発事業を継続して行ってまいります。

私からは以上です。

関口江利子 議員 区長に再質問をいたします。

清掃・リサイクル審議会で出された提言、特に分別収集についての区長の見解を再度お聞きいたします。

〔保坂区長登壇〕

◎保坂区長 関口議員の再質問にお答えいたします。

審議会答申での分別収集についてでございます。

プラスチックの資源循環施策については、清掃・リサイクル審議会より、区民一人一人が日々の暮らしの中にプラスチック製品の発生抑制、リデュースにつながる生活習慣を取り入れ、生活環境や健康、子どもたちの未来を守ることが大切です。その上で、発生する使用済プラスチックの資源循環を効果的に進めるためにも、使用済プラスチックの分別収集が有効であるとの答申をいただいています。

プラスチックの分別収集についての同答申におきましては、分別対象の基準づくりや、方法や、ルールの策定、中間処理施設、あるいは近隣自治体との連携について、また、普及啓発について事業者や区の役割、全体を通してCO2排出抑制の観点からの検証など、検討すべき事項が盛り込まれております。

プラスチックの分別収集につきましては、区として、まずプラスチックごみの発生抑制につながる普及啓発を強化し、再商品化事業者の確保など、答申で示された課題も精力的に整理し、区としての方向性は明らかでございますが、この分別収集について実現に至る幾つもの選択肢について、専門家の所見や区民、議会の御意見を伺いながら、合理的かつ効果的な取組となるように指示してまいります。

以上です。

関口江利子 議員 プラスチックの分別収集に関しては早急に進めていただけますよう重ねて要望いたします。

また、子どもへのインターネットの適切な使い方の啓発や環境の教育は、教育委員会の協力も欠かせません。連携した取組を要望して、質問を終わらせていただきます。