区議会 第1回定例会 予算特別委員会 おのみずきが区民生活委員会所管の質疑を行いました。質問全文をご覧いただけます。

議会の様子は↓こちらからご覧いただけます。

https://setagaya-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=7572

生活者ネットワークの区民生活領域の質疑を始めます。

 はじめに、スポーツ分野のジェンダー主流化について伺います。先日、世田谷区保健センターの健康度測定を受けました。測定後の結果説明の中で、気になるお話がありました。体重・筋肉・脂肪のバランスに関して、保健センターで検査を受ける女性は体重・脂肪量に対して骨格筋量がぐっと少ない方がほとんどで、体重・脂肪量に対して骨格筋量の方が多い女性は年代関係なく、年間2割にも満たないそうです。一見痩せて見えても、筋肉量が圧倒的に少ない。これは足腰の強靭さ、疾病への免疫等、生涯を通じた健康づくりにおいてリスクとなるもので、多くの女性がこうした課題を抱えていることは、単に男女で身体のつくりが違うから、という理由だけで片づけられる問題ではありません。

 昨年10月の決算審査では、区民のスポーツ実施率におけるジェンダーギャップを指摘し、ジェンダー分析に基づく改善を求めました。女性のスポーツ参加促進に向けて、仕組みの検討や環境整備に取り組むとのご答弁をいただきましたが、その後具体的にどのような検討がなされ、次期スポーツ推進計画や来年度以降の事業に反映したのか、伺います。

 

答弁

(スポーツ推進課)女性のスポーツ実施率が男性より低いことを受けて、スポーツ振興財団では、女性のスポーツ実施率を上げられるよう、女性の視点にたち、女性が参加しやすい時間や身近な地域で、新規事業を含め、女性用のプログラムを実施しています。

 例えば、スペイン語とフラメンコを組み合わせるなど興味を引くような講座を開き、スポーツを始めるきっかけづくりとしています。また、ボディコンタクトが生じるフットサル、男女の体力の差により参加者が男性に偏ってしまうテニスやランニングなどは女性用の講座を設け、女性が参加しやすい環境づくりをしております。

 令和6年度につきましても、トライアルで実施した女性向け事業の拡充や地域展開を図るなど、多様なライフスタイルに応じたスポーツの推進やスポーツの環境の整備に努め、女性のスポーツ実施率向上に取り組んでまいります。

 競技スポーツの講座参加者が男性に偏る原因は本当に「男女の体力の差」によるものでしょうか?ちなみに、女性を対象とした講座のうち、『「顔ヨガ×ピラティス」~顔とカラダを引き締め「美」を極める1日!』等は新規で始めたと聞きましたが、こうした新規講座の企画等、施策の検討に先立ち、なぜ女性区民、特に20代、30代の女性たちのスポーツ実施率が低いのか、データに基づく分析や検討はされたのでしょうか。

答弁

(スポーツ推進課)区では在住の満18歳以上の男女4,000人を対象に、毎年、区民意識調査を実施しており、令和5年度の調査では1,832人の有効回答がありました。その中で男女の年代ごとのスポーツ実施率の調査も行っており、施策の参考としています。

 また今回、次期スポーツ推進計画の策定にあたり、昨年4月に区民ウェブモニター調査を実施し、551名から回答を得ましたが、委員の仰るとおり男女別での集計・分析を行っておりません。

 今後、次期スポーツ推進計画の施策を進めていく際には、様々なデータに基づき分析を行い、女性がスポーツに取り組みやすい環境を検討することが必要だと考えます。引き続き、毎年行っている区民意識調査等のデータも活用し、女性がスポーツに取り組みやすい環境づくりに取り組んでまいります。

 

既存の調査データでも、例えば「スポーツや運動を行う目的」あるいは「この1年間にスポーツ・運動を行わなかった理由」等の項目を男女別やその他属性でクロス集計するだけでも、施策検討への示唆があるはずです。データに基づかない施策は十分な効果が得られない可能性があり、ともすればもっと根本にあるジェンダー規範の再生産に加担することにもなりえます。「女らしさ」という社会的抑圧の下で、女性たちは子どもの頃から「機能する身体」ではなく「見られる身体」であることを全方位から求められます。細い身体への凄まじいプレッシャー、運動することで筋肉がつくのではという極度の恐れ等はその結果のほんの一端です。ぜひ今後は、データを有効に活用し、その背景にある社会構造にも目を向けて施策を検討いただくよう、強く要望します。

 さて、昨年10月の決算審査にて、都市整備領域の質疑で少しご紹介しましたが、例えば公園やスポーツ施設といった公共空間に関しても、男女でその使い方に違いが見られたり、公共空間で感じる恐怖心等に明確な差があったりすることが、様々な事例・調査研究によって明らかになっています。区では現在、上用賀公園拡張事業におけるスポーツ施設の整備や、大蔵運動公園・大蔵第二運動公園の再整備、和田堀給水所上部利用施設におけるスポーツ施設の整備等が進められていますが、公共空間の設計にもジェンダーの視点を取り入れ工夫することで、女性等のスポーツ参加促進や運動習慣改善につながる可能性があります。

 先の区民ウェブモニターには「区のスポーツ施設の利用にあたり重要だと思うこと」等、施設整備の際に参考となる調査項目も含まれていました。こうした既存データや今後実施する調査のジェンダー分析を通して得られた結果を、スポーツ施設の整備にも積極的に活用すべきです。見解を伺います。

答弁

(スポーツ施設課)区のスポーツ施設では、子どもや高齢者、障害のある方など誰もが利用いただくことから、利用される方の視点に立ち、快適に使える施設を整備していくことが重要である。

 今後、整備計画のある総合運動場、大蔵第二運動場の再整備計画に向け取り組んでいる基礎調査では、区民ウェブモニター調査等において、施設利用者のみならず、年齢別、男女別や普段スポーツをなかなか行えない方のご意見を広く聴取していくことは、施設整備を行う上で、貴重なデータとなり、重要であると考える。

 ご意見も踏まえ、区民ウェブモニター等において、各調査項目の集計を男女別に分析するなど、調査で得られた結果を、今後の公共空間の設計に生かしていければと考えている。

 

先ほども申し上げましたが、調査結果の分析を行う際には、表面的な結果を見るだけで終わらせず、その背景に何があるのか、どういった社会的要因の影響が考えられるのか、といった部分まで目を向け、ぜひ公園等の関係所管とも連携して女性等のスポーツ参加促進策を検討・実施いただくよう、重ねて要望します。

 次に、気候民主主義の実践について伺います。

 まず来年度予算に関して、私たち生活者ネットワークが提案してきた新規事業の「(仮称)世田谷版気候市民会議」について、当該事業の予算額と財源を教えてください。

答弁

(環境計画課)気候市民会議の令和6年度予算額として500万円を計上しており、財源については、気候危機対策基金から充当いたします。

 

気候危機対策基金より500万円を充当して実施するということですね。昨年6月の一般質問で世田谷区版気候市民会議の早期実施を求めましたが、予算額が非常に少ないとはいえ、来年度新規事業として提案された点は評価します。

 改めて申し上げると、気候市民会議とは、ミニ・パブリックス、つまり「くじ引き等の方法により、社会全体の縮図となる参加者を集めて熟議を重ね、その結果を政策決定などに用いる手法」の一つです。2019年から欧州を中心に急速に拡大し、日本でも2020年の札幌市での会議開催を皮切りに、複数の自治体で実施され、定着しつつあります。私も昨年、日野市の会議を傍聴しましたが、様々な世代・属性の市民が活発に議論しており、それを見守る傍聴者も大変多く、人々の関心度の高さを感じました。

 さて、気候市民会議をめぐっては、2030年というタイムリミットが迫る中、敢えて今、私はこれを自治体で実施する意義は大きいと考えています。サイレントマジョリティーの声を拾う、市民と政策決定者の溝を埋め信頼を高める、プロセスに直接参加していない人を含め、市民が自分の政治への影響力を自覚できる、公的決定の正当性を高めより広い市民の支持につなげられる等、抽選代表による熟議プロセスの一般的なメリットも、当然あります。

 ただ最も重要な点は、「脱炭素社会への転換」はすべての⼈の暮らしに関わる⼤きな変化(パラダイムシフト)が必須で、専⾨家すら“正解”を知らない難しい課題であるということ。つまり、私たち⼀⼈ひとりが問題を知り、ともに考え、話し合う余地がたくさんあることです。

 今、若い区民の方々からは、気候危機に対して「時間が無い!」という焦燥感、漠然とした未来への不安感、自分にはあと何ができるのだろうという無力感等など、様々な声を聞いています。私自身も、仕事で気候変動対策の現場に携わり、正直なところ、地球の消費期限は近いのではないか、自分の人生30年先の未来すら描けない、そういった感覚を持っています。特に、これからを生きる子ども・若者にとって、自分の未来への選択に直接関与する、その経験を得ることは極めて重要だと考えています。

 このような気候民主主義の考えや将来世代が抱える葛藤等を踏まえ、区は来年度「(仮称)世田谷版気候市民会議」をどのように実施していくのか、見解を伺います。

答弁

(環境計画課)気候変動は、地球に住むすべての個人に影響が及ぶ課題であり、特に、住宅を主体とした本区においては、区民一人ひとりが主体的に考え行動していく必要があり、委員お話の市民による議論の場である気候市民会議の手法は、本区としても一定の効果が得られる取組みと考えています。

  一方で、91万の区民の多様な意思の縮図として実効性の高い議論の場を作ることやこの手法を政策形成において実装していくことについては、働く世代の参加が得にくいこと、知識や認識の違いなどをふまえた実施手法の検討、実施体制づくり、さらには区民参加の手法としての実効性の確保に向けた検討及び検証が必要と考えております 。

 そのため、来年度については、脱炭素化の実現という目標に向かって区民の関心喚起や自分事化などを狙いとして実施し、その中で気候市民会議の本来の趣旨をふまえた効果的な方法を検討してまいります。

 

『気候市民会議の本来の趣旨』という言葉がありましたが、気候市民会議の重要な特徴の一つが、熟議を経て出された結果が政策決定に用いられるという点です。子どもも大人も、単に議論して意見を集約・発表するだけでなく、それが政策として実装される、自らの関与によって社会に影響を与えられることは、会議参加の大きなモチベーションになりえます。

 昨年10月の決算審査では『気候市民会議の中で区民自身の行動を考えていただくとともに、基金の使途を含めた区民や事業者の行動を後押しする効果的な施策を議論してもらい、区の新たな脱炭素政策につなげていきたい』とのご答弁をいただきました。今後、気候市民会議の本来の趣旨をふまえた実施を検討されるのであれば、気候市民会議と参加型予算という、2つの手法を融合した新たな取組みとして、例えば気候危機対策基金の一部を、気候市民会議から出された政策実現のための予算として活用できないでしょうか。見解を伺います。

答弁

(環境計画課)本区の脱炭素化は、区民一人ひとりの主体的な取組みがなければ実現できない目標であり、区政の基本方針である参加と協働は、気候変動対策においても基本的な取組みであると認識しています。

 これまでも地球温暖化対策地域推進計画の策定時におけるパブリックコメントや環境団体との意見交換を実施し、また、現在進めている成城地区における脱炭素地域づくりの取組の検討 では、地区内の住民の意見を個別に伺うヒアリングパートナーの募集なども行っており、丁寧に意見を伺う機会を設けています。

 気候市民会議におきましては、まずは実施手法や有効性について検証を重ねたうえで、委員お話の区民提案に対する予算の担保なども含めて、よりに区民の考えたことが気候変動対策へ反映され、参加意識を高める取組みについて検討してまいります。

 

 

気候市民会議の成果を活かすのは区の責任です。区民の提案を受け入れるにしろ、却下するにしろ、その理由を明らかにし、政策への反映プロセスの透明化を徹底いただくよう要望します。この件は、引き続き取り上げてまいります。

 最後に、これからの清掃事業について伺います。

 今年1月に、会派で砧清掃事務所での可燃ごみ収集体験に参加させていただきました。ベテラン班長と現場にご一緒させていただき、改めて、経験に裏付けされたプロによる的確で効率的な作業進行があって初めて、今の世田谷区の清掃事業は成り立っていることを実感しました。また、筋肉量が相対的に少ない女性でも、協力プレーによって収集作業は問題なくできることも分かりました。

 先の決算審査では、清掃事業の現場においても、女性を含む多様な人材を受け入れられるように早急に改善策を講じるよう求めました。3月現在、1名の女性職員が収集運搬作業に従事していると聞いています。引き続き取り組んでいただくようお願いします。

 

 さて、今年元旦に発生した能登半島地震を受け、区の災害廃棄物処理計画、災害廃棄物処理マニュアルに目を通しました。関連する清掃一組の災害廃棄物処理計画の完成にはまだ時間を要するそうですが、内容は凡そ必要な情報はすべて網羅されており、あとは実際にこの通り動けるかが課題です。立派なマニュアルがあっても、各清掃事務所や現場で働く収集運搬作業員の方々を含め、平時よりマニュアルを活用した訓練ができていなければ全く意味がありません。いつ起こってもおかしくない災害、特に関東大震災以降、区内では大きな被災経験がない震災に対応するために、清掃・リサイクル部として取り組まれている訓練の実施状況について、簡潔にお答えください。

答弁

(清掃・リサイクル部管理課)大規模な災害が起きると、建物の損壊や浸水等により、膨大な量の災害廃棄物が発生するため、地震や台風等を想定した訓練により対応力を向上していくことが重要です。

 毎年、清掃・リサイクル部では、災害対策本部運営訓練等、様々な災害を想定した初動対策訓練や総合防災情報システムの操作訓練、防災無線訓練、清掃事務所での停電時を想定した清掃車輛への給油訓練等を行うとともに、都や二十三区合同で行う訓練にも参加しており、国や都の研修会等の受講と併せ、知識や取組みのアップデートを行っております。

 また、この間、平成17年度野川流域の集中豪雨や令和元年度台風19号による玉川地域の浸水被害の対応、平成22年度東日本大震災や令和元年度房総半島台風などの際には、支援要請に伴い運転者や作業員を派遣していることから、経験した職員も多くノウハウ継承に努めているところです。

 なお、毎年、台風や降雪が予想される際には、その都度、部内人員態勢の整備や当日には清掃事務所や民間事業者の収集体制の確認、関連施設の状況など関係者との連絡調整を行い、収集に関する区民周知等を行っています。

 今後とも、関連する計画と整合を取りながら、災害廃棄物処理計画と災害廃棄物処理マニュアルの更新を進めてまいります。併せて、東京都の災害時を想定した災害廃棄物搬入搬出演習へ参加するなど、災害時に円滑かつ実働できるよう職員の対応力の向上に取り組んでまいります。

 

様々取り組んでいただいているのは分かりますが、毎年の災対本部運営訓練に参加するのは、管理課・事業課のみと聞いています。災害廃棄物処理マニュアルの実効性を高めるためにも、情報連絡体制の構築や区民への周知等、マニュアルに記載された一連のフローを部分的に切り出してせめて図上訓練を実施すべきです。

 また、最も効果的な訓練は、やはり実際に被災地へ赴くことであると聞きます。能登半島地震によって発生した災害廃棄物への対応など、機会を捉えて被災地での実地経験を積むことができるよう、積極的な取組みをお願いします。

以上で終わります。