令和7年3月 定例会02月20日
今年は都議会議員選挙と参議院議員選挙が行われます。障害のある成人の参政権が守られ、投票所を運営する区が投票行動の完遂を保障する責務について二点伺います。
昨年、私が求めた視覚に困難さがあり、かつ文字が書ける人に向けた投票用紙記名補助具は、都知事選挙から導入していただきありがとうございます。この補助具は、中に投票用紙を入れ、候補者名を記入する部分が切り抜かれているので、手で触れて位置を確認しながら自分で書くことができます。
しかし、ある人が補助具の利用を申し入れたところ、職員からどうぞと手渡されたそうです。用紙を補助具にセットしてほしいと頼みましたが、その後、代筆しましょうかと声をかけられたと。職員は、補助具の役割を全く理解していませんでした。自筆で投票されたその方は、自分で候補者の名前を書いて投票することは、予想を超えてよかった、ぜひ広げてほしいとおっしゃっていました。また、別の見えづらさのある方は、補助具の存在を知らず、白杖も持っていなかったためか声かけもなく、代理投票で済ませたそうです。初対面の職員に候補者名を伝えるのは抵抗感があり、補助具を使ってみたかったとおっしゃっていました。
以上のことから、新しく導入した投票用紙記名補助具について、職員への用途の理解や適切な運用の徹底を求めます。この事例は投票所の運営に携わる職員用マニュアル投票事務の手引に生かしていただきたいのですが、この手引には、障害のある方の投票行動を支援する視点では多くの不足を感じます。手引にある障害のある方等への対応についての記述の在り方について伺います。
まず、本人の困難さが障害のせいでなく、社会の構造にあることを示す障害の社会モデルについて冒頭で記すべきと考えます。また、知的障害の記述が非常に少なく、発達障害や精神障害については触れられてもいません。障害特性が実際の投票行動に落とし込まれていない印象を多々感じました。
横浜市や狛江市の調査では、障害者手帳を持っている人は持っていない人に比べ投票率が低く、障害が重くなるほど投票率が下がるという結果が出ています。当区の当事者家族からは、投票所の様子を見ても、自分の子どもが投票するイメージが持てない、そもそも投票は諦めていると聞いています。東大阪市や狛江市では、関係団体の協力も得て、実際に障害のある成人が参加する模擬投票が行われ、課題を抽出しています。当区でも、職員向けに模擬投票を行って、投票支援が必要な人への対応を実地研修として確認し、障害所管と連携をして、投票事務の手引を実態に即したものにアップデートすることを求めます。
次に、障害のある人の歯の診療について伺います。
椅子の背もたれが倒れ、強い光を受けて洗ったり削ったりする音や感触、歯の治療が好きだという人はあまりいないのではないでしょうか。まして不安感の強い特性がある人には我慢し難い行為です。全身麻酔を使い、不安を和らげないと治療ができない人もいます。
区が、世田谷区歯科医師会へ委託している梅ヶ丘駅近くの口腔衛生センターは、一般の診療施設で治療が難しい心身障害児者等を受け入れています。区内唯一の施設で、予約は年間を通してほぼ埋まり、新規の予約は大変取りにくいそうです。
お子さんが区内の特別支援学校へ通われている保護者のお話では、知的に特性のある生徒の大半は学校の歯科健診を安全に受けられず、再検査の用紙をもらって口腔衛生センターへ行っているそうです。しかし、センターの診療は平日の午後四時までのため、付き添いの家族は仕事を休まざるを得ず、学校の長期休暇中の予約も取りにくく負担となっています。受入れ人数の限界や立地の課題もある中で、安全に受診できる歯科診療所の拡充が必要です。
区が二子玉川の玉川歯科医師会に委託している休日・準夜歯科応急診療に心身障害児者等の受入れもできないでしょうか、見解を伺います。
次に、障害者団体の無償利用施設の拡充について伺います。
松原の区児童相談所内にある活動支援スペースは、障害者団体の活動を支援するために無償で提供されています。事前登録制で、区内に在住し、主に障害者や保護者等により構成される五名以上の団体が百八登録されています。高次脳機能障害の当事者のサロンやダウン症の人たちがハンドベルの練習に使うなど、令和五年度は二千百七十四件の利用でした。障害のある子どもや若者、現役世代の人たちが社会参加や交流、情報発信ができる場はピアサポートの要素も大きく、重要な機能の一つです。
また、障害のある人の中には低所得の方もおり、利用料の面で行政が支える意義を感じます。適正な利用者負担の導入指針の策定から十五年が経過し、次年度以降に予定されている再検討の中で、減免基準について考え方を見直す等、地区会館や区民集会所などでも無償利用できるよう求めます。アクセスしやすい身近な場所でコミュニティーがつくられ、障害者団体の存続と活性化に寄与するべきと考えますが、見解を伺います。
最後の質問です。福祉介護分野におけるサービスは、世田谷版地域包括ケアシステムを支える基盤の一つとして重要な役割を担っています。訪問介護職員、いわゆるヘルパーは、ケアマネ、看護師、ケースワーカーなど様々な専門家とコミュニケーションを取りながら分野を横断して適切なケアを行います。そのため、訪問介護事業者の閉鎖の影響は高齢者のみにとどまりません。
昨年六月の介護報酬の改定を受けて、訪問介護事業者が閉鎖に追い込まれていると報道されていますが、当区の実態はどうでしょうか。区内の約九割の事業者情報を掲載する介護サービス事業者ガイドブックをひもとくと、昨年九月時点の訪問介護事業者の総数は、二〇二三年と比較して九事業者減り二百二十五、ヘルパーは三百十一人減りました。これは厚労省による職員の平均訪問回数から単純計算すると、年間延べ千三百八十五人にケアが届けられなくなったことになります。
また、生活において、排せつ、食事等に休みはありません。土日祝日や年末年始のケアに入れる事業者は、利用者にとってなくてはならない存在です。しかし、この一年間で、年中無休または二十四時間ケアを受託する事業者は五十三から四十三に減りました。
区が主体で実施する介護予防・日常生活支援総合事業は必要性の割に報酬が低いため、事業者から敬遠されがちです。五年前まで総合事業を実施する事業者は全体の八一・四%でしたが、六七・六%にまで落ち込みました。ほかにも困難ケアや移動のロスが多いケアは切り離さざるを得なくなっています。このままでは必要な介護を担保することが困難になるでしょう。
今年は、第十期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定に向け、実態調査が行われます。事業者規模による傾向を見える化するなど、項目の精査やクロス集計等により課題抽出に資する有効なデータが得られるよう求めます。
また、新たに実施する介護事業者経営改善支援事業は、コンサルタントが経営改善等の伴走型支援を行い、事業者が自ら経営上の課題を簡単に分析できる経営課題整理シート等を策定、経営改善報告書をまとめ、他事業者へ横展開することを目標としています。国が進める処遇改善加算の取得は、利用者が利用料負担を負う仕組みです。あえて加算を取らなかった事業者も存続のために取らざるを得なくなってきました。介護が必要な人ばかりではなく、結果として家族への負担が増すことは避けなければなりません。経営改善支援事業につきまして、合理化の名の下に本来の命に寄り添ったサービスが失われないよう、各事業者の特徴を生かした上で最適化を図っていただくよう強く求めます。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎選挙管理委員会事務局長 私からは、障害者の投票環境の整備について二点お答えいたします。
まず、投票用紙の記入補助具についての職員への理解や運用の徹底についてでございます。
投票用紙記入補助具は、点字が使えない視覚障害者に向けた器具で、世田谷区では、昨年七月に執行された東京都知事選挙より導入いたしました。投票所に従事する職員への周知につきましては、従事する全ての職員へ配付している事務手引に、器具の使い方や選挙人への対応手順を掲載するとともに、職員向けの説明会においても説明しておりました。しかし、期日前投票所では、従事する区職員全員が対応する取扱いとしていた一方で、投票日当日の投票所においては、障害のある方などへの対応を行う相談係の職員だけが専ら対応する取扱いとしており、他の係の従事する職員へは周知が行き届いていない状況がございました。
御指摘を受けまして、今後は係に限らず、投票所に従事する全ての区職員が投票用紙記入補助具の対応を行えるよう取扱いを変更するとともに、援助を依頼せざるを得ない人の気持ちに寄り添った対応を行うよう周知を徹底してまいります。
次に、投票支援が必要な方への対応の実地研修での確認と、投票事務の手引のアップデートについてです。
投票所の従事員に配付している投票事務の手引には、障害福祉部が作成する職員向け障害を理由とする差別を解消するためのガイドブックを基に、障害種別ごとに特性や特性に応じた対応の仕方などを記載しております。模擬投票を行い、投票支援が必要な方への対応を実地研修で確認してはどうかという御提案をいただきました。当委員会では、毎年、特別支援学校において選挙啓発のための出前授業を実施しております。こうした場面など、当事者の声を伺い、職員の対応の課題を洗い出すというこれまでになかった視点の機会と捉え、さらなる投票環境の向上につなげていきたいと考えております。
また、障害所管と連携して、投票事務の手引をアップデートしてはどうかという御提案もいただきました。これまでも、障害のある方からの御意見などを基に手引を更新する際には、障害福祉部を通して当事者の意見を伺うなど連携して対応してきております。御指摘をいただきました不足する点などにつきましては見直しを行い、障害所管と協力しながら、誰もが投票しやすい環境整備を図ってまいります。
以上でございます。
◎保健福祉政策部長 私からは、障害児者への歯科診療について御答弁いたします。
区では、世田谷区歯科医師会への委託により、世田谷区口腔衛生センターにおいて、心身の障害等により一般の歯科診療所での診療を受けることが困難な方を対象とした診療を昭和五十六年十月より行っており、年間延べ二千人を超える方が受診しています。御提案の玉川歯科医師会の歯科保健センターで障害のある方に診療を行う場合には、障害の特性に対応できる歯科医師、歯科衛生士などの人材や、診察台などの備品や専用機材の確保など、診療を実施するには多くの課題があります。
今回のお話を受け、障害のある方の心身の状態や介護者の状況により現状の診療時間では受診することが難しかったり、公共交通機関では梅ヶ丘駅近くの口腔衛生センターの利用が難しいこともあるのではないかと考えております。今後は、障害のある方の歯科診療におけるニーズを把握することに加え、玉川歯科医師会の人的体制などを確認しながら、玉川歯科医師会の歯科保健センターでの障害児者歯科診療の実施の可能性について検討してまいります。
私からは以上です。
◎政策経営部長 私からは、障害児者団体の活動の場である公共施設の無償利用についてお答えいたします。
今年度スタートした新たな基本計画では、重点政策の一つに、多様な人が出会い、支えあい活動できるコミュニティーの醸成があります。社会的な孤立や孤独が社会問題となる中、障害者の地域コミュニティーへの参加意欲を引き出すことも取組の方向性の一つとして重要であると認識しております。今回の施設使用料改定においても、障害者の外出や社会活動への参加をより一層促す観点から、障害者休養ホームの改定率を管理運営経費の増加割合の二分の一に、また、知的障害者生活寮と身体障害者自立体験ホームは、生活基盤の確保の観点から改定を見送っております。
今後、適正な利用者負担の導入指針の改定を予定しておりますが、障害者団体の地域活動の促進を目的とした施設使用料の減免については、地区会館や区民集会所等はもともと低廉な料金価格を設定しておりますので、例えば事業補助や後援等による支援も含め、関係部署とも連携し検討してまいります。
以上でございます。
◎高齢福祉部長 私からは、介護サービスの質の維持について二点御答弁いたします。
最初に、介護保険実態調査についてです。
区内の介護事業者の実態を把握することで、次期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画策定に向けた基礎資料とするため、計画策定年度の前年度に介護保険実態調査の事業者編を実施しております。質問項目は、回答する事業者への負担軽減や、経年で変化を追っていく必要があるため、大幅な項目追加や質問内容の変更は難しいところでございますが、これまでもその時々の社会状況に応じて適宜質問内容を変更しております。
調査の実施に当たっては、経営状況の把握を念頭に調査項目について検討するとともに、クロス集計の仕方の工夫など関係所管課とも十分に調整を図り、可能な限り詳細に介護事業者の実態把握に努めます。また、実態調査の結果については次期計画策定に生かすのはもとより、利用者の介護サービスの質の確保や、来年度実施する事業者経営改善支援事業への活用も視野に入れてまいります。
次に、介護事業者経営改善支援事業についてです。
令和六年の全国の介護事業所の倒産件数が過去最大となるなど、介護事業者の経営は苦境にあり、区民に必要な介護サービス提供を継続するため、緊急安定経営事業者支援給付金を実施しました。その際に行った経営状況に関するアンケートでは、給付金の使途は人材に関する経費が半数である一方、残りの半数が、固定費の支払いや物品の購入等にも充当しており、経営に関するアドバイスを求める意見もございました。
そのため、令和七年度より区が事業主体となり業務の一部を事業者に委託して、介護事業者経営改善支援事業を実施し、経営状況の分析と経営改善策の立案、また、経営改善策が効果的に実行されるよう、介護事業所に対する助言や進捗確認、その事業所の特徴を生かしたサポートを行うなど、継続的に伴走して事業者支援を行ってまいります。
本事業の成果は、施設長会など介護事業所団体等と結果を共有するとともに、令和七年度に実施する介護保険実態調査結果と連携し、令和八年二月を目途に中間まとめを行い、実効性のある横展開を図ります。また、令和九年度を初年度とする第十期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画に反映し、介護事業者の支援に取り組んでまいります。
私からは以上です。
◆ありがとうございました。引き続き、障害分野については取り上げ行きたいと思います。
以上で質問を終わります。

