令和7年6月 定例会06月04日
今年度は、せたがや未来の平和館開館十周年記念事業として、常設展示のリニューアルや記念シンポジウムなど様々な催しが開かれます。多くの区民に世田谷区の平和の取組について知っていただくとともに、自分にとって平和とはどのような状態を指すのか、例えば家族との関係、友人との関係など、身近なことから平和について思いをはせる機会となるよう期待をしています。
さらに、戦後八十年である今年は、都内、全国で様々な取組が行われます。例えば朝日新聞社が戦争や核兵器をテーマに発行する教育特集号は学校現場での活用を推進しており、無料で取り寄せることができます。また、都内近郊の博物館、美術館、歴史館等では特別展が企画されていますし、被爆したピアノを使った平和コンサートが中央区、千代田区、練馬区、八王子市などで開かれる予定です。ノーベル平和賞の選考を行うノーベル委員会が日本で核軍縮をテーマにした催しを行うとの報道もありました。
これらの取組を節目のイベントとして終わらせず、八十一年目へ向けて受け継いでいくためには、次世代への継承が重要です。十周年記念事業について、生活文化政策部と教育委員会が連携をして、より多くの子どもたちが触れられるよう求めます。
区立学校の社会や国語などの授業では、広島の原爆投下をはじめ、他都市の大きな被害が象徴的に取り上げられることが多く、一定の効果を果たしていることは認めるところですが、世田谷の子どもたちにとっては、どこか遠いところで起きた歴史の一小節のように感じられないでしょうか。
せたがや未来の平和館は、世田谷区の戦跡や人にスポットを当て、自分の町を主役に平和について学べる非常に貴重な施設です。当区の資源を最大限活用した、次世代へ継承する平和教育を学校や教育委員会とともに進めていただきたいと考えます。区の見解を伺います。
一方で、日本中で記念行事が行われるこの機会を学校としても生かしていただきたいところです。せたがや未来の平和館をはじめ、都内近郊の取組情報を子どもたちへ提供するなどして、平和について考えるきっかけが持てるようにすることが大切です。夏休みの自由研究のテーマに取り上げるなど、学校として取り組むことを求めます。見解を伺います。
次に、障害や認知症があっても安全に受診できる歯科診療について伺います。
口腔ケアや歯科診療は、健康状態の維持に大変大きな役割を果たします。虫歯や歯周病を放置すると、痛みや歯の喪失だけではなく、顎関節の不具合や食べ物を飲み込む力、嚥下機能の低下、虫歯菌により大きな病気へつながる可能性もあります。障害や認知症などにより、診療台の上でじっと体を動かさずにいたり、口を開け続けることが難しい人にとって、整った設備と対応に慣れた歯科医師、衛生士によって受診ができる歯科診療環境は非常に重要です。
区内唯一の心身障害児者等を対象にした歯科診療所である口腔衛生センターについては、受診者が多いことによる予約の取りにくさや、診療時間の短さから保護者が仕事を休まざるを得ない現状があり、拡充の声が上がっていることは、さきの定例会でも触れたところです。具体的に進めていくためにも、早急にニーズ調査を実施することを求めます。
調査に当たっては、関係所管とも連携をしながら、口腔衛生センターの利用者だけではなく、特別支援学校や福祉施設を利用する人など、広範囲にわたって声を集めて実態を把握することが必要です。調査を踏まえ、丁寧に歯科医師会との協力・連携体制を構築していくことを求めます。区の見解を伺います。
最後に、区職員及び介護職員へのカスタマーハラスメント防止策について伺います。
厚生労働省が二〇二三年度に民間企業や団体の従業員を対象に行った八千人の調査では、顧客などから就業者に対し、著しい迷惑行為を受けるカスタマーハラスメント、いわゆるカスハラを受けたことがあると答えた人は一〇・八%でした。一方で、総務省が二〇二四年に全国の自治体職員を対象に実施した約一万一千五百人の調査では、住民からのカスハラを受けた職員は三五%、上司、同僚、部下がカスハラを受けているのを見た職員は五一・三%に上ります。
今、全国の自治体で、カスタマーハラスメント防止の条例制定や対応策が進んでいます。東京都も今年四月からの条例施行に伴って指針を策定し、各事業者が具体的に取り組んでいくことが求められています。
さきの調査では、女性管理職はカスハラ発生への認識が男性管理職よりも約十ポイント高くなっていることや、年代・任用形態によっても被害に差があることを示しており、これらにも配慮をして気づきの感度を上げる等、就業環境を整えることが必要です。
一万人を超える常勤職員、会計年度任用職員を抱える世田谷区として、カスタマーハラスメントの防止にどのように取り組むのか見解を伺います。
実態調査によって、民間企業に比べて自治体職員へのカスハラ被害の割合が高いことが見えてきました。本日、もう一つ影響を受けやすい業態として取り上げたいのが、介護サービス分野におけるカスタマーハラスメントです。厚労省による約一万一千人への調査や全労連による約六千三百人への調査では、事業形態で差があるものの、利用者、家族からのカスハラが二〇から七〇%の割合で起きており、特に訪問系のサービスでは高い傾向が出ています。
当区でも、二〇一八年の区内介護事業所調査で、利用者、家族からのハラスメントが一定数あったことを当会派が取り上げたことで、介護サービスを利用する区民に対して、介護従事者と良好な関係を築くよう周知がされました。しかし、現在、サービスの利用者側から不服や苦情を申し立てる仕組みについては周知されているものの、利用者、家族からのハラスメントについて、区民の理解を進めるような記載を確認することは、残念ながらできませんでした。
介護従事者が受けるカスハラへの対応でほかと大きく異なる点は、病気や障害などが起因している可能性を十分に理解した上で専門性を持って対応をする必要がある。つまり、介護従事者を守りつつも、サービスを継続させることが前提ということです。特にハラスメントを理由に契約解除をしようとする場合、運営基準にのっとった正当な理由が必要になると厚労省は示しています。介護サービスを止めることは、その人の生命に関わる大きな判断です。契約を取りやめた結果、困難事例と化して、次の介護事業者が見つからない事態も十分想定できます。介護従事者は交代要員が足りていない中、少なからずカスハラに耐えながらサービスを継続しています。カスハラに直面した介護従事者に対して、事業者が認識の甘さから我慢を強いているところもあると感じています。
このような状態で、介護を仕事として選ぶ人、まして若者が増えるとはとても思えません。管理者向けのカスタマーハラスメント防止研修や小規模事業所等の対処力を上げるために、自治体、地域包括ケアシステムへ即座に相談ができる連携体制を強化するなど、介護従事者の確保、維持に資するカスタマーハラスメント防止の取組について区の見解を伺います。
以上で壇上からの質問を終わります。(拍手)
◎生活文化政策部長 私からは、平和事業への取組について二点御質問いただきましたので、順次お答えを申し上げます。
初めに、せたがや未来の平和館開館十周年記念事業、これを教育委員会と連携してという御質問についてでございます。
本年は、せたがや未来の平和館十周年を記念し、平和について改めて考える機会とするために、子どもから大人まで参加できるよう年代に応じた様々な事業を予定してございます。七月十六日開催のシンポジウムでは、次世代への継承をテーマに、主催を世田谷区と世田谷区教育委員会として実施し、教員にも参加を呼びかけ、教育現場で子どもたちへの平和学習に役立てていただく予定でございます。また、七月二十日に上演する演劇「あの夏の絵」は、すぐーるも活用して学校や保護者に広く周知し、区内在住、在学の若い方をターゲットに無料で開催いたします。また、秋に開催する予定のスタンプラリーでは、子どもが楽しく平和を感じられるような工夫について現在検討を進めてございます。
今後、さらに教育委員会との連携を図りながら、多くの子どもたちが平和の大切さを考える事業に参加し、関われるよう取り組んでまいります。
次に、区内の資源を活用して学校と協働する戦後八十一年目からの平和教育についてでございます。
せたがや未来の平和館では、昨年度実施しました企画展「せたがやの戦跡と戦争体験」において、池尻にあります駒沢練兵場や代沢にある陸軍獣医学校など、区内の戦跡と、兵隊の出征の様子ですとか、空襲の被害に遭った軍馬の骨があったなど、そういった場所に関連する戦争体験者の証言に合わせて、それらを地図に記し、世田谷区の当時の様子を多くの人に知ってもらいました。また、戦争体験者の体験談を聞きながら、陸軍獣医学校跡や馬糧倉庫など、代沢・池尻周辺の当時の軍事施設を歩いて回るまち歩きツアーは参加者に大変御好評いただきました。さらに、他の地域の戦跡を取り上げたツアーを実施してほしいと、こういった御意見も頂戴しているところでございます。
こうした区内に残る戦跡などは戦争を語る上での貴重な資源であり、実際に巡ったり、体験者からお話を聞くことは、戦争の悲惨さをよりリアルなものとして、平和について深く考えるきっかけになると考えてございます。
今後も平和館が世田谷にあるという、こういう強みと地域性を生かしながら、教育委員会や学校と連携し、多くの子どもたちが戦争が身近に地域にあったことを知り、平和の大切さを実感できるよう、よりよい工夫に努めてまいります。
以上でございます。
◎学校教育部長 私からは、平和について考える機会を持てるよう学校として取り組むべきとの御質問に御答弁いたします。
戦後八十年を迎えるに当たり、子どもたちが平和について自分たちで考える機会を持つことが重要であると認識しております。今年度、生活文化政策部と共催する七月の記念シンポジウムへ教員の参加を促すとともに、児童生徒の夏休みの課題として、平和に関する体験的な学習を設定する等、子どもたちの主体的な取組を促す工夫をするよう校長会で指導したところです。
今後、夏季休業前の校長会において、改めてせたがや未来の平和館の取組を中心に、議員御紹介の新聞社が発行する教育特集「知る原爆」「知る沖縄」の紹介や、国、都による催物等を周知し、児童生徒の参加を促し、主体的な活動へつながるよう指導してまいります。
以上でございます。
◎保健福祉政策部長 私からは、障害者等の歯科診療について御答弁いたします。
区では、梅ヶ丘駅近くの世田谷区口腔衛生センターにおいて、世田谷区歯科医師会への委託により、心身の障害などで一般の歯科診療所での受診が難しい方を対象とした歯科診療事業を実施しています。今年度、まずは世田谷区口腔衛生センターを利用されている方を対象に実施場所や診療時間などの意見を聴くなど調査を実施してまいります。
お話しのとおり、より多くの区民の方のニーズを把握するためには、口腔衛生センターの利用者以外の意見聴取も必要だと捉えています。障害福祉関係機関と連携しながら、調査対象や実施方法等について検討し、調査を行いたいと考えております。
区では、これらの調査結果を踏まえ、障害のある方などが安心して歯科診療を受診することができるよう、世田谷区歯科医師会、玉川歯科医師会とも協議しながら環境整備を進めてまいります。
私からは以上です。
◎総務部長 私からは、区のカスタマーハラスメント防止に向けた取組について御答弁申し上げます。
近年、カスタマーハラスメントが深刻な社会問題となったことに伴い、東京都をはじめ北海道や群馬県などの自治体は、カスタマーハラスメントの防止を目的といたしまして条例が施行されてございます。
区では、過度な苦情や要望に対しまして、各業務において区民の権利を不当に侵害しないよう十分配慮し、その業務内容や対応する区民、事業者等との関係を勘案しながら、適切かつ丁寧な対応に努めているところでございます。また、対応に当たりましては、職員研修の実施のほか、職員のメンタルヘルスに関する相談窓口を設置するなど継続して就業環境の向上に取り組んでまいりました。加えて、本年二月にはネームプレートの顔写真を廃止し、名字のみの記載へ変更する対策を行ったところでございます。
今後、さらなる職員の安全な就業環境と健康の確保のために、カスタマーハラスメントの防止に関する基本方針の策定に向けて検討を進め、主体的かつ積極的に取り組んでまいります。
私からは以上です。
◎高齢福祉部長 私からは、介護従事者へのカスタマーハラスメント防止について御答弁いたします。
高齢者介護サービスの中でも、特に個人宅を訪問する訪問介護や訪問看護においては、本人や家族によるハラスメントを含む不適切な言動の繰り返し等があると介護従事者の精神的な負担となり、場合によっては介護従事者の離職につながり、区民へのサービス提供に支障が生じる可能性があります。
これまで区では、介護従事者が安心してサービスを行えるよう世田谷区福祉人材育成・研修センターでハラスメントに関する研修を行ってきました。また、今年度新たに実施する福祉サービス事業所を対象とした弁護士相談においては、困難ケースの事例を共有し、利用されやすい制度となるよう取り組むとともに、介護サービスに携わる方々へのカスタマーハラスメント防止に注力してまいります。
また、東京都はいわゆるカスハラ防止条例を昨年制定し、総合相談窓口の設置をメインとした条例の周知をしております。今後、区のハラスメントに関する事業の周知とともに、都から依頼があった際に事業者に周知をしてまいります。
私からは以上です。
◆介護職へのカスタマーハラスメントの防止について、第九期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画では、利用者、家族からのハラスメントについては全くと言っていいほど触れられていません。これから始まる十期計画策定に向けては、介護従事者の安全な就労環境の保障のために、カスタマーハラスメントについて盛り込むことが望ましいと考えています。管理者側の認識にも改善の余地があることを指摘いたしました。引き続きこの件については取り上げてまいります。
以上で質問を終わります。
