高岡じゅん子委員 生活者ネットワークの文教の質疑を始めます。
引き続き、新型コロナの感染を防ぐ問題について話をしていきたいと思います。
この瀬戸際対策と言われているものが長引いておりまして、引き続き休校、そして、もう春休みに突入しようとしております。
まず、給食のことについてちょっとお伺いするんですが、ちょっと角度を変えまして、急な給食の中止で大量のフードロスというのが給食現場で発生していないか、また給食納入業者の方に過大な損失が、中小の小さい事業者に出ていないかということについて、まず確認したいと思います。
学校健康推進課長 二月末に新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、区立小学校につきまして、三月二日から三月十四日までを臨時休業とした方針に基づき、給食の提供も中止いたしました。学校給食で使用する食材につきましては、自校調理を行っている各学校が事業者へ発注や発注の取り消しなどを行っております。三月二日から三月十四日までの臨時休業中の給食用食材の多くは、各学校への配送をとめることができたところでございます。一方で、発注の取り消しが間に合わなかった乾物や調味料など保存のきく食材につきましては、学校再開に向けて一時保管をしております。
なお、発注の取り消しが間に合わなかった食材につきましては、事業者からの請求に基づき、支払いを行う予定でございます。
高岡じゅん子委員 ぎりぎり中に土日があったということで、納品をとめて、必要な支払いは中小事業者の方にきちんとするということで少し安心いたしました。
今回の突然の休校は、やはり教育委員会の判断での休校ですので、給食費、初めは何日分かは保護者負担だったのを全額、やはり保護者負担なしにするということにした、そういう判断も妥当なものだったと考えています。
総括質疑で、給食が停止すると、やはり栄養バランスが保てないリスクのある子どもの問題を取り上げました。今回の給食休止に伴って、子どもに対する食の支援の充実に向けて、今、どのようなことをしてくださっているのかということを伺います。
学校健康推進課長 学校の休業中、子どもたちの中には、生活面、健康面、学習面などで支援や配慮を必要とするケースが生じる可能性を常に考えていかなければならないと考えております。休業期間中、給食を提供しないことに伴い、食の提供が必要な児童生徒への支援につきましては、子ども・若者部の協力を得て、今年度より実施しております子ども配食事業を臨時的に拡大して対応することといたしました。
教育委員会といたしましては、当該事業を保護者の皆様方に緊急連絡メールやホームページ等でお伝えし、その中で、支援の必要性がある場合には、子ども家庭支援センターに連絡をし、子どもに関する情報を共有するなど、連携して対応してまいります。
高岡じゅん子委員 先ほどの別の会派の中で、既に二百件の申し込みが子ども家庭課のほうにあるということです。この事業について御存じなかった保護者の方に素早くお知らせいただけたということには評価をいたします。今後も、子ども家庭課と連携をとり、必要な支援が的確に必要な子どもに届くように配慮をお願いいたします。これは新学期に入ってからも継続していただきたいと思います。
残念ながら、この感染症対策が必要な状況というのは一過性のものではなく、今後も続くことが予想されています。今回の事態を乗り越えたとしても、毎年、学校はインフルエンザなど集団感染を防いでいかなければならないということには変わりがありません。
感染症拡大防止には、体調不良な場合には潔く休むということが大切だというのは皆さんわかっていらっしゃるわけですけれども、どの職場もぎりぎりの人数で回している中、休みをとりにくいということがあると思います。ですけれども、学校の先生というのは、多くの子どもたちを相手にする職場であり、教員自身が感染源にならないということは、とても大切です。体調が十分でない場合、安心して休めるという職場環境が必要だと考えています。
昨年も、この件についてちょっと質問に取り上げまして、特に補習要員の手配や実施に非常に忙しくなりがちな副校長先生に対する補助の充実ということを約束していただきました。体調が悪い教員が安心して休めるためのサポート体制の強化について、今の状況と来年度の見込みを伺いたいと思います。
教育指導課長 体調が悪い教員につきましては、年次有給休暇を取得して休めるようにしております。その場合、ほかの教員がかわりにその授業に入るなどをして対応しております。教員が長期の病休に入り、非常勤講師の配置が間に合わない場合などには、小学校においては副校長が業務を代行する場合がございますが、その場合には、教育センターに配置しております副校長OBを派遣いたしまして、副校長をサポートする体制を講じているところでございます。
引き続き、スクールサポートスタッフの配置等を通しまして、教員の負担を軽減するとともに、教員の病気休職等に的確な支援を行っていけるよう取り組んでまいります。
高岡じゅん子委員 先日、新聞で、東京都の教育委員会が、特に副校長を支援する非常勤の職員の配置を増員するというようなことが載っておりました。ぜひそういった制度も使っていただいて、安心して休めるというような状況をつくっていただきたいと思います。
本当に安心して休養がとれるということは、人間としての権利だと思います。教員の職場というのは何かと特殊扱いされがちですけれども、例えば、最近新たにできた変形労働時間制というのも、先生方の疲弊感を改善する方向に役立つのかどうか、私は疑問だと思っています。まずは、余裕ある人員配置を今後も私どもも求め続けたいと思っています。
WHOがこのCOVID―19を正式にパンデミックというふうに認めました。危機感が高まりますと、排他主義や人種差別が噴出してくるということは悲しい事実です。欧州や米国の一部では、日本人や東洋人への露骨な差別が報道されています。皆様も、不快感や不安を感じられているのではないかと思っています。
日本国内でも、日本に暮らす朝鮮半島にルーツを持つ方や韓国の方、中華圏につながりのある方や中国の方に、ヘイトスピーチを初め、さまざまな差別的な行為がなされているという現実があります。世田谷区教育委員会では、人権尊重への理解を教育目標の冒頭に掲げ、差別や偏見をなくす人権教育の推進を目指しています。
子どもたちを取り巻く情報環境では、対面ではとても言えないようなことも、SNSやインターネット空間では無責任に拡散してしまう、フェイクニュースやインフォデミックというものが蔓延しています。
災害や感染症の流行など社会が不安に覆われているときには、差別や偏見に満ちた言葉や行為が出てきやすくなります。子どもたちは、このような言葉や行為の被害者にも、そして残念ながら加害者にもなり得ます。このような状況に対し、教育委員会はどのように対応しているんでしょうか。
教育政策部長 近年、急速な情報化が進む中、虚偽の情報ですとか偏見に満ちた情報が社会に広がり、多くの人を混乱させたり、傷つけるということが大きな社会問題となってございます。
教育委員会といたしましては、子どもたちが安易な形で加害者となってしまうことのないよう、しっかりとした人権意識を持たせるとともに、情報社会の中で正しい情報を見抜く力を培うことが重要であると考えております。
各学校では、人権尊重の理念に基づき、全ての子どもが互いを認め、心の通う望ましい人間関係を育むために、全ての教育活動を通じて計画的な人権教育に取り組むとともに、小学校六年生と中学校一年生においては、インターネット上での人権侵害や大量の情報の中から適切な情報を選択すること、責任を持った情報の発信など、ネットリテラシー教育にも取り組んでいるところでございます。引き続き、日々変化していく社会の中で、子どもたちが正しい行動を選択することができるよう取り組んでまいります。
高岡じゅん子委員 そういうふうに正しい行動を選択できるためにも、やはり自分たちが主体的に学ぶアクティブラーニング、そして体験的な学習をもっと強める必要があると私たちは考えています。
世田谷区が包括協定を結んでいる川崎市では、昨年の末、ヘイトスピーチに対する刑事罰規定が組み込まれた川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例が成立しました。川崎市には立派な平和館もあり、民族差別解消や国際理解など幅の広い平和の啓発、教育活動に取り組んできています。ことし一月には、へいわのための人権教育展というのが開催され、中学生から大学生が川崎市平和館の提供する共通ワークショップを通じてつくった人権教育プログラムが展示されていました。私も見に行ってまいりました。
特に十一日には、企画関連イベントとして、展示に参加した中学生や大学生が自分自身のつくった十分程度の参加型のプログラムを自分たちで披露する、ファシリテーションするデイ・オブ・ワーク・ショップ三昧というのが開催され、とてもすてきな体験でした。ゲームとか寸劇を通じて人権について考えるたくさんのプログラムが披露されています。
この中で、とても秀逸だったものをちょっと披露させていただきます。これは、誰もがフェイクニュースに振り回されてしまうという仕組みを体験するゲームでした。
最初に参加者を幾つかのグループに分けまして、こういうふうに言われます。ある病気に感染しているグループがこの中にあるといううわさがあります。そういうふうに言われた後、各グループに診断結果と言われた紙が配られます。そして、このグループの結果をみんな一緒に開いて見てください。みんなでのぞいてくださいというふうに言われます。
そういうふうに開いて見る中で、ある一つのグループが、ああっと声を出したグループが、一つのグループだけありました。その後、各グループの方にどのグループが感染していると皆さん思いますかというような問いかけがあったとき、私の参加したグループを含め、全てのグループがそのああっとちょっと違う反応をした人たち、あのグループがそうだというふうにみんなが言いました。実はそのグループの診断書には駄じゃれのようなことが書いてあっただけだったんです。実は誰一人感染していなかった、感染しているという診断書を受け取ったグループはなかったにもかかわらず、そこにいた、それも人権教育に興味があったはずの大人たちみんなも含め、本当に簡単にフェイクニュースというものができていくんだというのを、このほんの十分間ぐらいのワークショップで体験することができました。
このゲームは、中学生が川崎市平和館からの出前講座を受けて、ほんの二こまぐらいの体験的な授業でつくり出したというものだそうです。
私はこれを体験しまして、世田谷区の中学生にも、このような人権についての気づきを自分たちからつくり出す、大人たちに伝える、また、知らない子どもたちに伝える、そういう体験をしてもらいたいと強く感じました。川崎市とは包括協力協定も結んでいますし、平和館と世田谷区の平和資料館の協力関係もあります。ぜひこういった環境を生かして、希望する中学の総合学習の時間とか、また中学生向けの才能の芽を育てる体験学習でもいいんですが、世田谷区でこのプログラムを実現できないでしょうか。見解を伺います。
生涯学習・地域学校連携課長 新・才能の芽を育てる体験学習では、各界の第一線で活躍する方々を講師にお迎えし、日常では体験できない貴重な内容を体験することで、子どもたちが自分でも気づかなかった才能に気づき、その才能を伸ばすきっかけになることを期待して講座を実施しております。
お話しのありました川崎市の人権に関する体験学習につきましては、川崎市平和館の職員みずからファシリテーターとして、人権や平和に関するワークショップを行い、中学生の人権や平和に関する知識を高めていく授業であると伺っております。
世田谷区でも、平和資料館において平和のとうとさを知っていただくための資料の展示等を行うとともに、学校への出前授業等も行っております。今後とも、子どもたちにさまざまな体験学習をするための工夫を他部署とも協力をしながら検討してまいります。
高岡じゅん子委員 本当に全国でも、国際的な偏見を乗り越えるということに関しては、川崎市が第一線を行っている自治体だと思っています。そこの知見をぜひ世田谷区でも生かしていただけるように、強く要望させていただきます。
話題を変えまして、不登校の子どもたちの学ぶ権利を守っていくため、世田谷区教育委員会が進める施策について伺ってまいります。
開校して一年になるほっとスクール希望丘は不登校の親子に非常に人気が高く、利用に向けた見学申し込みも多数あり、来年度は利用定員をふやし、対応するとのことです。この間、何人の見学などのお申し込みがあり、利用に至らなかった児童生徒のフォローなど、不登校状態であっても教育とつながっていたい親子のニーズにどのように応えているのかを伺います。
教育相談・特別支援教育課長 ほっとスクール希望丘の利用定員は三十五名程度としておりますが、今年度は、この二月までの間に二百十三件の利用に関する御相談がございました。十一月末現在の段階で、通室体験を含め登録者が百二十名を超え、毎日の通室人数が四十名弱で推移したことから、それ以降、新規の利用については対応できず、利用希望者全員の御要望に応え切れていない状況でございます。
当面、ほっとスクール希望丘の利用ができない御家庭については、ほっとスクール城山、尾山台の利用を御案内するとともに、スクールカウンセラーや教育相談室での継続相談へつなげるなど、支援が途切れることのないよう努めております。
令和二年四月以降、ほっとスクール希望丘の定員を三十五名程度から五十名程度とするとともに、子どもたちが通いたくなるほっとスクール事業となるよう、見直しにも取り組んでまいります。
高岡じゅん子委員 希望丘に申し込みが集中するのは、施設の充実もありますが、居場所だけではない自立への道を子どものペースに合わせて探す場が求められているからだと思います。学校生活には合わないけれども、学習自体は嫌いでないという子どももたくさんいます。来年度からeラーニングのためのタブレットが各ほっとスクールにも配置されるという方針です。自分なりの成長をして、社会に出る準備をしていきたいという子どもの思いに応えられるように、ほっとスクール自体が変わっていくということを要望いたします。
あと、不登校でも学びたいという思いの中、民間のさまざまなフリースクールなどを利用している子どももたくさんいます。こういった生徒や保護者への支援は、今どうなっておりますでしょうか。
教育相談・特別支援教育課長 学校に行きたくても行けなかったり、家にひきこもっていたりするなど、さまざまな状況にある児童生徒とその保護者、家族への支援も重要と認識しております。
不登校児童生徒の家庭においては、福祉的な課題への対応が必要なケースが多いことから、スクールソーシャルワーカーを配置し、家庭訪問などのアウトリーチ型の支援を行い、一人一人の状況に応じた必要な支援につなげてまいりました。また、不登校の児童生徒を持つ保護者を対象として、お互いの不安や悩みを話し合ったり、情報交換を行う不登校保護者の集いを開催し、保護者の不安感を軽減する取り組みなども行っております。
教育委員会としましては、不登校児童生徒が自己肯定感や社会的自立に向けた意識を育むことができるよう、今後とも、子育てや家庭への支援を担当する福祉保健領域やフリースクールなどの子どもの居場所事業を実施している民間施設、団体とも連携し、適切な支援を継続的に行ってまいります。
高岡じゅん子委員 民間の施設や団体との連携も深めるとのことです。教育委員会のほうから主催で、フリースクール実施団体との意見交換会などを開くなどして、フリースクールで過ごす子どもの現状をしっかり受けとめ、必要な支援を検討していっていただきたいと思います。今は、一部の交通費が通学定期扱いになるなど以外の経済的な支援がありません。今後、経済的にも厳しい状況に対する支援についての検討も求めます。
不登校から学校に復帰したいと思ったとき、一番不安なのは、学習活動についていけるかではないかと思います。長期化し、例えば中学の一年間丸々休んでしまった場合、突然、中学二年生の英語や数学についていくのは本当に大変です。隣の学区に行き、中学一年からやり直すなど、標準の学齢から年齢が超過しても、自分の学力に合った学年をやり直すということはできるのでしょうか。
学務課長 不登校の児童生徒につきましても、次学年に進級することが多い状況でございますが、本人、家庭から次年度も現学年で学びたいとの希望があり、学校長が児童生徒の学習状況を踏まえた上で、現学年とすることも可能でございます。
高岡じゅん子委員 ギャップイヤーという考え方というのは、欧米ではすごく普通だというふうに聞いています。在籍し、年齢が上がっていきさえすれば、通学実態がなく、学習経験が得られなくても卒業させてしまうということが子ども自身のためになっているのか見直す必要があるのではないかと感じております。
幾つになっても学び直しのできる制度としては、今は夜間学級しかないというのが疑問です。高校などカリキュラムが多様化して、通信制だけではなく総合高校など柔軟なカリキュラムがふえ、むしろ高校に行きますと、科目不合格とか留年とかで学び直しは強制されるというようなことになっています。しかし、高校に行って初めてやり直しを経験するのではどうなんでしょうかと思います。もっと早い機会に、つまずいたところからやり直せる学び直しや補習の機会の充実が必要だと感じております。
不登校からの学力復帰支援というのを今後もぜひ工夫していっていただきたいと思いますし、これは放課後の補習などで済むようなものではない場合もありますので、それに対してどのような人員を充てていくのかということも取り組んでいただきたいと考えております。
不登校からの復帰後の補習支援について、見解をお願いいたします。
副参事 学校におきましては、放課後や長期休業日等を活用した指導や家庭訪問等の機会を生かしまして、学習等の個別の支援を行っております。また、全区立中学校で実施しているeラーニング等につきましては、自分のペースで繰り返し学習しながら、学びの定着度や進捗を確かめることができまして、学び直し等の基本的事項の定着につながるという点から、不登校の子どもたちにとっても効果的な学習となっておりまして、活用を進めております。
教育委員会といたしましても、今後とも、こうした家庭での学習等、状況に応じた多様な場を提供するなどいたしまして、不登校の子どもの学習支援をしてまいります。
高岡じゅん子委員 学習の支援に関して、ぜひ力を入れていただきたいと考えております。
高校に行くのは、もう全入が当たり前となり、少子化の影響もあって、都立高校にも定員の空きがある学校も出てきています。うれしいことには、不登校でも中学卒業生の場合、多くの場合、何らかの高校進学が実現できています。また、新しい学習環境を求めて中学受験するというような子もいます。子どもの進路のためには、内申書と卒業資格が必要になります。
本来は、学校で学んだこと、どのように学んできたかというのを進学先に伝えるのが内申書ですけれども、不登校の子どもたちのために、区立の小中学校はどのような進路の支援や学びの評価をし、進路に結びつけているんでしょうか。子どもたちの自分なりの学習活動などをどのように評価しているかについても伺います。
副参事 不登校の子どもの支援を進める上では、学校と関係機関が連携いたしまして、支援に必要な情報を共有しながら、子どもの将来に生きる対応を行うことが重要であると考えております。特に自宅や学校以外の場所での学びや活動を受けとめ、出席日数として扱うことや、学習の評価の対象とすることは、将来の進路選択や社会的自立に具体的につながるものといたしまして、子どもだけではなく保護者の関心も高く、積極的に取り組むべきものと考えております。
教育委員会といたしましては、自宅におけるIT等を活用した学習活動や、ほっとスクール、フリースクール等での学習を子どもの成果や努力の姿として積極的に認めまして、学校の出席や評価になるように働きかけを強化してまいりたいと考えております。
今後とも、こうした取り組みや努力の評価を積極的に行って、その子の将来に生かすように取り組んでまいります。
高岡じゅん子委員 子ども自身の成長や学びを大切にできる仕組みを世田谷からつくり上げていってください。
以上で生活者ネットワークの質問を終わります。