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2023年10月10日
決算特別委員会(福祉保健領域)関口江利子
生活者ネットワークの福祉保健領域の質問を始めます。
先の一般質問で、高次脳機能障害者への支援につきましては、相談機能の強化が必要と求めました。高次脳機能障害は、健康だった人がある日突然障がいを負うため、将来への不安に押しつぶされそうな本人と家族が障害を受け入れられるようにすることが必要です。障がいの特徴として、リハビリにより時間の経過とともに機能が回復・補われていくため、長期的な関わりが大切になります。保健センターでは、令和3年から高次脳機能障害の専門相談員が2人配置され、「高次脳機能障害の相談」という名称でサービスが始まっていますが、どのような役割を担っているのでしょうか。
1 保健センターは、高次脳機能障害の相談・評価を行う中核的な窓口として、専門職による評価を中心に、関連する様々な相談に応じ、本人・家族の状況にもとづいた支援につなげている。
2 令和4年度は、新規で53名、延べ491件の相談・評価を行っている。
3 主な相談内容は、「障害の状況の評価」「日常生活や就労に関すること」「訓練施設問い合わせ」など多岐に渡り、相談者も本人や家族、医療機関や相談支援機関などから幅広く相談を受けている。相談の中には制度や施設の案内をすることが主となり、それが相談者のニーズとマッチしていないと捉えられる場合もあると思われます。相談におけるニーズの把握は難しい場合もありますが、引き続き相談者のニーズを把握し、幅広い相談に応えられるよう努めてまいります。
数字を出していただきましたし、幅広く相談を受けているとのことですが、区民への周知は足りているのでしょうか。例えば、5地域にある地域障害者相談支援センター「ぽーと」は、何となく不安、自分はどんなサービスが使えるの、障がいがあっても一人暮らしをしたいといった、困りごとを幅広く受け入れる相談窓口です。障がいのことで困ったらまずぽーと、という意識づけが区ホームページやチラシで出来ているだけでなく、まちづくりセンターでも相談先としてぽーとが浸透しているように思います。ここ数年でぽーとや他の団体への相談が増えているようですが、「高次脳機能障害で困ったらまず保健センターへ」と認知されるような窓口を真剣に目指す必要があるのではないでしょうか。
1 高次脳機能障害は、その症状がさまざまであり、本人や家族はもちろん、支援したり相談を受ける人も、高次脳機能障害と認識しにくく、適切な支援につながることが難しい障害である。
2 本人や家族の方からは、「病院から退院して生活に戻ってはじめて困りごとが出てくる。そもそもどこに相談したらよいのか分からない」といった意見も伺っている。
3 このため、保健センターでは、令和4年度に実施したホームページのリニューアルや情報誌において、高次脳機能障害にみられる特徴的な症状や困りごとをより具体的に示すなどわかりやすい相談窓口の周知に努めている。
4 区においても、ホームページや障害者のしおりなどで高次脳機能障害の支援に関する情報提供を行っており、障害に関することだけではなく、様々なことが気軽に相談できる窓口であることを、より分かりやすい表現で区民に伝えていくことが、相談の入り口を広げていくことにつながると思うので、更に工夫をしていく。
区民がアクセスしやすくなるよう周知もしっかり行うとのことですのでぜひよろしくお願いします。しかしながら、当然重要なのは中身です。当事者や家族は、保健センターの施設が気軽に立ち寄れる雰囲気ではない、相談しても支援先を案内されるだけで終わってしまうなど、不安に寄り添ってもらえると感じにくくなっているようです。相談・評価・訓練が一体化していた旧総合福祉センターのように平場で当事者と相談員や専門家が顔を合わせられた頃とは物理的に環境が変わってしまった訳ですから、東京リハビリテーションセンター世田谷はもちろんのこと外部の支援団体とのコミュニケーションに努め、まちづくりセンターへも意識づけを行って、当事者や家族と伴走型の支援を目指すことが高次脳機能障害の相談支援サービスのあるべき姿だと考えますがいかがでしょうか。区の見解をお聞きします。
1高次脳機能障害における相談と評価は、本人や家族、支援者が障害の状況を把握し、適切な支援につなげていくための重要な役割であると考えている。
2この間、人員体制の強化や東京リハビリテーションセンター世田谷との連携強化などの取組みを進めているが、更なる検討が必要であると考えている。
3引き続き、保健センターと機能強化に向けた検討や関係機関とのネットワークづくりを進めるとともに、わかりやすい相談窓口の周知に努め、分かりやすい相談窓口の周知に努め、本人の状況や意向を丁寧に把握し、高次脳機能障害のある方が自身の希望する地域生活を実現できるよう取り組んでいく。
ぜひ、よろしくお願いいたします。
生活者ネットワークは、国の介護保険制度ができる前から「子育て・介護は社会のしごと」をスローガンに掲げ、子育てと介護を女性にばかり負わせるのではなく制度化して社会全体で支えることを訴えてまいりました。すべての人が直面する高齢者介護について質問いたします。
昨年、65歳以上の7000人の世田谷区民に行った「高齢者ニーズ調査・介護保険実態調査」によると、いま住んでいる地域に住み続けたいと回答した人は、「そう思う」と「まあそう思う」を合わせて91.1%。介護が必要になった場合に希望する居住、人生の最期をどこで迎えたいかについてたずねたところ、いずれも「自宅」をあげた人が50%を超えました。また、すでに介護認定を受けて介護保険を利用している2100人の区民を対象にした調査によると、主に介護を担っているのは「子ども」が32.1%と最も高く、次いで「配偶者」の28.2%で合わせると60.3%です。世田谷区でも多くの高齢者が家族介護に頼っていることがわかります。さらに介護をする40〜60代の働き盛りの男女を比べると女性が約40%、男性が約14%となっており、女性の負担が非常に大きいことがわかります。しかもそのうち約42%の女性が働いているという調査結果も出ていまして、介護と仕事の両立に苦しむ女性像も見えてきました。私の元にも親を介護するために仕事を辞めざるをえないと悲痛な女性の声が届いています。世田谷区は「第9期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(素案)」で基本理念として「住み慣れた地域で支えあい、自分らしく安心して暮らし続けられる地域社会の実現」を掲げています。ご本人が望まれる限り在宅で生活できるよう支えることは非常に大切ですし進めていくべきと考えますが、今の現状ではとても心配です。家族介護の負担、特に女性へ負担が偏りがちになる傾向をどう捉えているかお聞かせください。
介護保険制度は、核家族化や家族介護者の高齢化、介護の長期化など高齢化社会の課題に対応するため介護を必要とする人を社会全体で支える社会保険制度であり、委員ご指摘の点も含まれていると考えております。また、「第9期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画」では、計画目標の一つに、安心して暮らし続けるための医療・介護・福祉サービスの確保を図るを掲げております。その中で、在宅生活の支援と安心できる住まいの確保の施策において家族介護者への支援に取り組むこととしております。
介護人材の深刻な不足が叫ばれていることはご承知の通りと思いますが、全国で2022年の施設介護員の有効求人倍率は3.79倍、訪問介護の人材は15.53倍となっています。全職種の有効求人倍率の平均は2023年6月で1.3倍ですから、訪問介護人材が飛び抜けて足りていないことがおわかりいただけるかと思います。世田谷の訪問介護事業所でも人手不足でケアをお断りするケースが起きています。区としてどのように訪問介護の人材確保を進めるのかお聞きします。
①区では、介護人材の確保・育成、定着支援に関する様々な取組みを実施しています。訪問介護ヘルパーの人材確保としては、まず、介護職員初任者研修課程等受講料助成として、研修課程修了後3カ月以内に区内の介護サービス事業所等に就労し、かつ3カ月以上継続して就労した方に受講料を助成しています。
②また、介護人材採用活動経費助成として、訪問介護事業所も含め、人材確保を目的とした求人広告費等の費用について、その一部を助成しています。
➂今後、ヘルパーも含めた介護人材確保策として、介護職の魅力向上・発信や働きやすい環境の構築等に取組み、人材不足の解消に努めてまいります。
初任者研修課程修了後、区内の介護サービス事業所に就労したした人は何人くらいいるのでしょうか。
令和4年度に受講料助成を受けた70名の方に対して今年度フォロー調査を実施しておりまして、回答された40名に対して39名の方が区内の事業所で就業していると確認しています。
研修内容が充実しているからこその就業率だと思います。実施回数を増やしたり開催場所の工夫など検討しながらより受講生も増やしていただき、多くの有資格者を現場へ送り出してください。
世田谷区内の介護事業者が載っている「ハートページ」という冊子があります。この中の訪問介護事業所を2023年から2019年までさかのぼって比べてみると、新規に立ち上がった事業所は50、閉鎖は40事業所でした。新規50事業所のうち19は大手の法人経営による事業拡大で、閉鎖した40事業所のうち半数ほどは母体を持たない小規模事業所でした。体力のない小規模事業所がどんどん閉鎖に追い込まれることへの危機感がよく聞かれます。地域に密着したきめ細やかなケアを行う小規模事業所は地域の資源です。令和4年度の世田谷区介護保険実態調査(事業所編)によると、労働環境改善のためにどのような取組みが重要だと思うかの設問では、「労働条件の改善(賃金)」の割合が61.6%と最も高くなっています。介護職員の賃金改善のため、国は「介護職員処遇改善加算」を用意していますが、事務員を置く余裕がなく、ヘルパー業務と事務を兼任しているような小規模訪問介護事業所では、約10%が事務作業が煩雑等の理由で加算の届け出すらできていません。介護保険制度は国の制度であり、まさに今年は制度改定が審議されていますが、基本報酬の増額のような抜本的な解決となる改定がなされるとはとても思えません。「第9期世田谷区高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画(素案)」の基本理念に沿って住み慣れた地域で暮らし続けるためにも労働環境改善策を区独自の上乗せや助成で行うべきではないかと考えますが、区の見解をお聞きします。
①介護サービス提供時の介護報酬は、介護保険法において、サービスに要する平均的な費用の額を勘案して国が定めることとされている。そのための手続きとして、現在、令和6年度以降の報酬について社会保障審議会給付費分科会で議論が進められているところである。議論の中では、人材不足や物価高を踏まえた介護報酬の大幅な増が必要との声がある一方、介護報酬増に伴う介護保険料の負担増やサービス利用者の利用者負担額の増加を懸念する声もあがっている。
②介護報酬は、介護サービス事業者の経営実態調査と給付費分科会に参加している多方面の代表者の声を反映し、制度の持続可能性の観点から国が責任をもって適正な額を定めるべきものであり、区が独自の上乗せを行うことは困難であると考えている
今回調べた3年分の「ハートページ」で正規職員は124人増えて1174人に、非正規職員は272人減って3601人になっていました。介護保険実態調査(事業所編)によると、訪問介護サービスは非常勤の高齢化が特に進んでおり、今後ますます減っていくことが予測されます。何度も申し上げますが、介護保険制度は国の事業だということは重々承知の上で、介護離職や介護鬱などに苦しんでいる家族、閉鎖に追い込まれていく小規模事業所をこのまま見過ごしていいのか、国の動向を注視するだけで良いのか、自治体として対策をとるべきだと考えます。
また、訪問介護のヘルパーは高齢者だけではなく障がい児者の支援にも入ります。同様に、障がい福祉の立場からもヘルパーの処遇改善を求めたいと思いますがいかがでしょうか。
1.障害者総合支援法の障害福祉サービス事業は、法令に基づき、国2分の1、都4分の1、区4分の1の割合で、福祉サービス報酬が支払われている。
※以下時間切れ
2.障害福祉サービス事業所は、基本的には福祉サービス報酬で運営されているが、区は、民間の障害児者施設に対して重度障害や医療的ケアの方の受け入れを促すために補助金を交付する仕組みを整備している。ホームヘルプ事業所については、福祉サービス報酬のみで運営されている。
3.人材の確保・定着については、令和6年度からの「せたがやインクルージョンプラン」の重点取組に位置づけており、今後、研修の充実や職員の心身の健康を守る取組など、一つ一つ検討していく。
訪問介護は臨機応変な対応が求められる高度な仕事です。認知症の方を訪問したら在宅していなくて必死で探し回ったり、トイレの床から壁から排泄物が飛び散っていたり、害虫ともしょっちゅう遭遇しますし、古い調味料で料理をすることもあります。顔をしかめる人がいらっしゃるかもしれませんが、人と会うことが楽しい、一緒に笑い合うことが嬉しいから続けている人たちばかりです。当事者の声、現場の声を真剣に聞いていただくことを求めて質問を終わります。