第3回定例会 意見 2023・10・20 関口江利子

令和5年9月 定例会 10月20日

関口江利子 議員 生活者ネットワーク世田谷区議団を代表し、令和四年度世田谷区一般会計決算認定外四件全てに賛成の立場から意見を申し上げます。

 令和四年度は、ロシアのウクライナ侵攻に端を発し、世界的な食料不足、エネルギー価格やあらゆる物価の高騰など、目まぐるしく変化する世界情勢の影響が国境を越えて私たちの生活を直撃しました。区としても、せたがやPayを活用した地域経済の支援、入浴施設や福祉施設、訪問事業者へのエネルギー費用補助など、逼迫する区民生活を支えるために対応してきたことは評価します。

 十月七日に始まったイスラエルとハマスの紛争により、多くの子どもや女性を含む民間人が毎日のように犠牲になっています。私たちは遠くの国で起こっている関係ないことと思わず、自分たちの子ども、家族を守るために何が必要か本気で考え、平和について対話をし、理解を深めていく必要があります。日本の平和を守る手段は防衛でも兵器による抑止力でもありません。世田谷らしい平和教育の充実を求めます。

 こうした変化が激しい時代において、全ての人が生き続けられる社会をつくるために重要な視点として、三点申し上げます。

 一つ目は、本当の意味で誰一人取り残さない社会をつくるための方策の一つとして、区においても全庁を挙げてジェンダー主流化を実践し、ジェンダー平等社会の実現を目指すことです。このたびの決算特別委員会では、まちづくり、子育て、高齢者福祉、障害者福祉、スポーツ振興、教育等の政策に関して、性別にかかわらずという枕言葉によって現に存在するジェンダーギャップを覆い隠し、存在しないものとして扱ってきた実態を指摘し、データに基づく対策と改善を求めました。いずれも前向きな答弁が得られたと認識しております。以降の事業実施に当たっては、インターセクショナリティーも考慮しながら、ジェンダー主流化の実践を本気で進めるよう、今後も引き続き強く求めてまいります。

 二つ目は、人材の不足についてです。

 世田谷であらゆる世代、特に転入してきた若者や子育て世代が住み続けるためには、言うまでもなく区民サービスの充実は最重要課題の一つです。そのためには、介護、保育、教育、ごみ収集、区職員など、いわゆるエッセンシャルワーカーの働き手が十分に確保されている必要があります。

 区は人材の育成、確保の手だてを講じていると言いますが、果たして抜本的な解決策となっているかは甚だ疑問です。特に、子育てと介護といった福祉分野では、歴史的に女性の家庭内無償労働が根底にあり、やりがいがあっても報酬の低さから仕事を続けられない現状は大変深刻です。これは男女ともに職業として選ばれにくい原因ともなっています。区として独自の報酬上乗せを重ねて要望いたします。現場の実態調査や働き手のニーズ調査を活用し、ハラスメントの根絶や業務のDX等にも取り組みながら、多様な人材が働きやすい環境づくりを推進することを要望いたします。

 最後に、環境問題についてです。

 生活者ネットワークは一九八三年の結成以来、合成洗剤等化学物質が人体に与える影響を重く受け止め、地域の人々とともに広く環境問題に取り組んでまいりました。こうした系譜を受け継ぎながらも、今回は近年新たに注目されるようになった香害やPFASの問題を取り上げ、区における対策強化を求めました。また、地球規模の課題である気候危機への対応は、現役世代のみならず、将来世代が生きる未来を守るための私たちの責務です。今後は、昨年度創設した気候危機対策基金も活用し、ダイナミックな気候アクションの展開を求めます。これからも私たちの原点として、次世代へ続く自然環境の保全と地球との共生に向けた取組を求めてまいります。

 以上で生活者ネットワーク世田谷区議団の賛成意見といたします。(拍手)